言の葉の庭

平日に休みが入ったので、青森には上映劇場が無いこともあり遠距離ドライブで仙台にいくついでに視聴。46分という短い映画なので(以前野村不動産関連で公開されたらしい短編も同時上映だが)料金は1000円。平日真昼間の回で大きい劇場ではなかったとはいえ、公開1週間の時点で観客4人はちょっと少ない気もした。itunesでネット配信でも見れることが多少影響してるのだろうか。

あらすじ

靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は決まって学校をさぼり、公園の日本庭園で靴のスケッチを描いていた。
ある日、タカオは、ひとり缶ビールを飲む謎めいた年上の女性・ユキノと出会う。ふたりは約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、次第に心を通わせていく。居場所を見失ってしまったというユキノに、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うタカオ。
六月の空のように物憂げに揺れ動く、互いの思いをよそに梅雨は明けようとしていた―



いい新海作品だった

満足した。キャッチコピーが

"愛"よりも昔、"孤悲(こい)"のものがたり

なんだが、46分という比較的短い時間の中で演出・ストーリー共にキャッチコピーが持っている雰囲気をしっかり表現出来ていて見終わった後の満足度は高い。完全なハッピーエンド…とまではいかないものの、作品全体の雰囲気的にもこのくらい距離感の結末がいい匙加減ではないだろうか。今回は青春小説寄りの方でいつもの新海節。アニメでやるには地味or繊細な演出が要求され、実写でやるにはともすれば古臭くなりがちなド直球でピュアな作風を存分に堪能できた。
新海作品は評判を見て回避してしまった『星を追う子供』以外は全部見ているが、今までの作品の中でも秒速5cmと1〜2位を争ういいデキだと思った。ただ、こちらは秒速5cm程には心を抉られないのでそこは安心。総合点で優る『言の葉』強く印象に残る『秒速』という括りが妥当かな…と思う。


完全に足フェチ映画です。ありがとうございました

(毎回のことではあるが)実写みたいに丁寧な作画や雨の表情が絡む演出とかも素晴らしかったが、この映画で自分がもっとも惹かれたポイントは『足』だったりする。
予告編とかあらすじをほとんど見ないで本編を視聴したので、ユキノさんの足の採寸シーンで足を強調する構図のカットが挿入されたり、足が画面いっぱいに映ったり、タカオが跪いて足を測るシーンでは「!?…なんという足フェチ大歓喜なシーン…なんという俺得」と思ってしまった。
しかし、ただ足を強調するカットだけ乱発する映像ならばここまで心惹かれる物があるだろうか?まぁ「これは確実に狙ってますね…」感が無かったとは断言できないが。シーン毎の台詞は至って繊細で真面目であるし全体的な作画はいつもの新海節であり極端に肉感的ということはない。しかしそれでも足を強調するシーンがエロく感じられる雰囲気が醸成されていることがこの作品の醍醐味であると私は思う。

  • シチュエーション的な問題:雨の日の新宿御苑での逢瀬-普段は人通りも多い公共の場-雨の日は一転して人通りも絶え→雨と相まって演出される日常と紙一重写実的でありながらも幻想的な雰囲気
  • 主人公の心情の問題:年上の女性への憧れと興味-靴を作る上で人の足が気になる-女性の足を執拗にチラ見するのはどうなのか→「俺は足フェチなのか…?」的心情
  • ヒロインの魅力の問題:知的で素敵な大人の女性(CV.はなざーさん)-どこか浮世離れした立ち回り-清楚で綺麗な素足→詳しい事情はよく知らない年上のお姉さんが屋外で素足を差し出してきてるんだが?

それらの要素が渾然一体となって問題の足の採寸シーンの美しい倒錯感を高めてくれている。ここまでお膳立てされて27歳美人古文教師ユキノさんの素足アップシーンにフェチぃ雰囲気を感じられないわけがない。紛うことなき足フェチ大歓喜映画である。まぁ監督自体に足フェチの気があるししょうがないね。丁度主人公くらいの年齢の人がこの映画を観て足フェチに目覚めるとかそういう事例があってもおかしくない足への拘りでした(重要なシーンの一部演出も含め)。

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