とある飛空士への追憶

珍しく北東北の田舎県でも初日から上映してたのですが、丁度連休が貰えたので仙台までドライブがてら行って観てきました。感想書いてるのはこんな日付ですが、実際観たのは10/1の初回上映というね…
長町のMOVIX仙台、観客は40人程で劇場の広さからすると埋まり具合はそれなりな感じ。最近の大作劇場版と比べると控え目なスタート。けいおん劇場版のグッズを広く取り扱ってる劇場でパンフレットとかも一通りは置いてあったのですがドッグタグの200円ガチャ(?)は無かったのは減点対象。


あらすじ

二国間戦争のさなか、名もなき飛空士・狩乃シャルルは類まれな操縦技術を見込まれ、次期皇妃ファナ・デル・モラルをその婚約者カルロ皇子のもとに水上偵察機で送り届ける極秘任務を命じられる。護衛を付けず一機で敵中を突破する危険な任務であったが、それでもファナを守り抜き、12000kmを飛ぶべき理由がシャルルにはあった。次々と襲ってくる敵空中艦隊と戦闘機を超絶なテクニックで退けるシャルル。命をかけた空の旅で次第に二人は惹かれあってゆく。やがて迫る絶体絶命の危機の中、ファナのとった行動とは…。そして二人の恋の行方はー


それなりに見れるけど爪が甘い

ガガガ文庫から出ている原作は間違いなく名作の部類。1巻完結で読みやすく読後感も良い、一般人にも薦めやすいライトノベルとしてよく名前が挙がる作品の一つ。それと比較すると、劇場アニメ版は駄作とは言わないまでも一枚劣るというのが見終わった時の率直な感想。
制作はマッドハウス。「日本が世界に誇る〜」という売り文句が付くことが多いが正直最近はかつてのオーラは…そんなに崩れることないが。全体的に地味だがそつのない仕事で『劇場版アニメ』と呼ぶに値するクオリティは確保してるので、最後まで問題なく視聴はできる。個人的に空戦シーンはなかなか頑張っているように感じた。原作が文章だけで表現してたのをCGとはいえ(艦隊の突破方法が毎回似たような展開だが)劇場版クオリティで完全映像化するのには骨が折れたと思う。対照的に空戦以外のシーンは作画は問題ないのだけど例のダンスシーン以外はパンチが効いてなかった感じ。順調に飛行してるシーンが結構な量で存在する+主演声優が(r ってのも影響してるかも。シャルル役の人は演じてる役を考えれば、平坦な感じの棒演技でもいい気はするんだが、正直ファナ役の人にはもっと演技力が欲しかった。そして全く期待してなかったサンドウィッチマンは意外といい演技してた…
そして問題は原作から削除されたシーン。尺の問題もあるのかもしれないが劇場版は原作からいくつかのシーンが削除されている。完全に原作に忠実に劇場版にせよ、とは後述する客層の狙いもあるので間違っても言えないが、それでも「このシーンは外せないだろ…jk」と言えるシーンが2つ3つあってその辺りも切ってしまったのが悔やまれる。「シャルルが踊ってくれない…」所とか。ちなみに追加されたシーンもいくつかあるけど、ぶっちゃけそんなに重要でも…
加えて、この作品はここ数年の劇場版アニメでは異例とも言える公開初日での劇場数が一つの特徴として挙げられると思う。普通この手のややマニア向けなアニメの劇場版は東名阪+地方中枢都市程度の公開範囲しかないのだが、この映画は恐ろしいことに青森や秋田でも普通に公開初日から観れた(それでも普通の洋画とかと比べると全然少ないのではあるが)。この公開劇場数+原作からの大幅なキャラデザの変更から小学館の「一般受けするお話だからラノベマニア以外に一般人にも売り込んでいこうぜ!」的な気概が見て取れる。重要な所をカットし過ぎたのは問題だが、水着シーンや排泄について言及してるシーンカットはその辺りを見越しての物と考えると納得。


全体的に見ると作画とかも問題無いレベルだし、ストーリーも基本的に変わりはないので「損した!」と落胆することも少ないとは思うが、原作読んで期待に胸を膨らませながら見るとちょっと物足りなく感じるかも…という塩梅。個人的に原作超えには至ってない。TVで放送すると実況的な意味でも視聴者層的な意味でも色々と面白いと思うんだが難しいだろうなw

4094512853とある飛空士への夜想曲 上 (ガガガ文庫)
犬村 小六 森沢 晴行
小学館 2011-07-20