「ラジオガール・ウィズ・ジャミング」

2006年下半期ライトノベルサイト杯やら2chライトノベル大賞やらで名前をみかけて全くノーチェックだったので今更ながら購入。

あらゆるメディア展開が禁じられている街の夜を、機材(アンテナ)を抱えて駆ける少女・レコリス。
なんと彼女は、禁じられたラジオ放送を市民のみんなに届ける、J・O・L(ジャック・オー・ランターン) 海賊放送局の一員なのです!
でも、軍の妨害や街全体を巻き込んだ大変な事件に巻き込まれて……!?


…荒筋やカラー口絵の漫画を見て、「可愛い女の子と軍部の追っかけっこかー」とか想像しつつ本文を読み進めてみたらあらびっくり。なんか戦災復興とかテロとか軍部の思惑とか民衆の暴動とか表紙や口絵からは想像できない方向に話が進み始めましたよ?というか追っかけっこの方が印象薄かったりして。


街の人々の生活が1冊という制限の中で上手く描けていることや、レコリス周りと軍部周りのバランスを崩さない程度のペース配分など、なかなか良い点はあるのだが最も気になったのは物語の解決方だった。民衆の煽動によって生じる暴動に乗じた爆発物テロをレコリスの海賊放送によって解決に導くという形の結末だが、それはレコリスが独断で行ったことだから許されるのだろう。意図的な噂も海賊放送も方向性は違えど人を煽動したことには変わりなく。登場人物の誰もが最初からそれを使う予定を持たず、自分たちの力で問題を解決しようとしていたことがまだ救いだったと思う。とはいっても、「海賊放送」をキーに使うならこれ以外の結末は無い気もするが…。これを超える結末があれば!


設定に微妙〜な部分が見受けられるのと、結末が個人的に若干苦いのを除けば概ね良作。
とにかく、しっかりストーリーを最後まで追えているのが好印象。
新シリーズとか帯に書いてあって続編は出そうな感じだが出ないらしい(平和の温故知新@はてな様より)

ラジオガール・ウィズ・ジャミング
ラジオガール・ウィズ・ジャミング深山 森

おすすめ平均
starsメディアがつなぐ人と街

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