秒速5センチメートル

小学校の卒業と同時に離ればなれになった遠野貴樹と篠原明里。二人だけの間に存在していた特別な想いをよそに、時だけが過ぎていった。
そんなある日、大雪の降るなか、ついに貴樹は明里に会いに行く……。
貴樹と明里の再会の日を描いた「桜花抄」、その後の貴樹を別の人物の視点から描いた「コスモナウト」、そして彼らの魂の彷徨(ほうこう)を切り取った表題作「秒速5センチメートル」。3本の連作アニメーション作品。

http://5cm.yahoo.co.jp/story/index.html

3月19日現在、渋谷シネマライズでしか公開されていないこの映画(3/24から3箇所追加されるけどね)遠征ついでにリアルタイムで鑑賞してきましたよ。渋谷…個人的にアウェーの街。本格的に散策したこともなければ駅から降りたことも数えるほどしかないような気がする。駅から降りると…人大杉。駅前のスクランブル交差点とか新宿より人多いんでないかなぁ。スクランブルに面した2階のスタバとかビルまるごとツタヤとか有名だけど実際にその場所まで行ったのも初めてで、今更ながら感心する。そんな俺には渋谷の街は難しすぎた。西武の建物の間から道に入って右に曲がりスペイン坂を登ればパルコ3の向かいにシネマライズはあるらしい。西武の建物の間から路地に入る⇒適当に直進⇒なんか坂発見⇒これがスペイン坂か?⇒とりあえず登る⇒それらしい建物もなく大通りに出る⇒スペイン坂はもっと奥だったのだよ…⇒それっぽい方向に移動⇒映画館前を通過して見知らぬ場所へ…なんかパルコとかありそうもない町並みになってきたのでコンビニで地図をみて戻りましたよ。で、結構開演ギリギリにシネマライズ到着。映画館は地下にあった。螺旋階段を降りて劇場前に。「チケットは1階です」。
(´・ω・`)ショボーン
なんか…いらぬ苦労が多かった。
しかしね、やっぱ映画は劇場でみてなんぼですよ、奥さん。コスト面とかお手軽さならDVDがいいのだけれど、DVDって一時停止できるしチャプター再生もできるじゃないですか(当たり前だ)、なんで家でDVDを見ている時は実際そんなに気合を入れて内容を把握してない気がするのですよ。劇場の大画面で止めることもできず流れ続ける場面に対して、他の一切を忘れ集中して鑑賞する姿勢は尊いと思う!しかしあまりに難解な映画だと逆に置いて行かれる諸刃の剣、素人にはお勧めでkr。
というわけで、実際問題テーマを理解しているかはわからない一見さんの感想どぞー。


■第一話「桜花抄」
小学〜中学時代
貴樹が明里に会いに東京:豪徳寺から栃木:岩舟まで移動するお話。
ただ、約束の日は記録的な豪雪で…


冒頭、桜。いきなり圧倒される。桜吹雪そのものが綺麗な描写はありがちと言えばありがちではあるが、この作品の場合桜だけでなくその背景も含めてディテールや光源描写に拘り「概ねどの場面でも背景が美しい」。駅の構内や、田舎の田んぼですらも。この点に関しては異論は無い気もする。元々作品全般で綺麗な絵を描く監督だったが、ロケハンの成果と合わさっていい具合に昇華できてると思う。作中で雪の影響により待ち合わせ時間を過ぎても栃木まで辿り着けない状況があるが、ここでも「夜のローカル線の人のいない車内」の描写がいい塩梅に不安感に拍車をかけてくれる。舞い散る桜と雪を秒速5cmの台詞で絡めるのも秀逸な背景美術の助力があってこそだろう。なんだこの綺麗な田舎。
まー狙ってるのかもしれないけど背景も含めて「綺麗すぎる」感はあるんだけどね…実際問題思春期の恋愛ってもっとドロドロしてるもんじゃないかしらと。最後の一夜も。



■第二話「コスモナウト」
高校時代
種子島の高校で貴樹を彼に恋する女の子「カナエ」の視点から見るお話。
カブ


カナエかわいいよ!
貴樹が明里を引きずってるのは容易に想像がつきますが、あれほどとは。メールを打ってる相手等、後に繋がる欝の種が見受けられます。2話単体だとあんまり感想でないなー。



■第三話「秒速5センチメートル
社会人時代
恋人と別れ、会社を辞めた貴樹の「今」のお話。


山崎まさよし


切なさ乱れ撃ち


PVかよ!
といいつつ3話はよくできてますよ。ストーリーを意識しなければ。作画とか演出は文句なし。


■総括■
…思えばこの類の映画に興味をもったのは昨年見た「時をかける少女」が原因だろうとは思う。「時かけ」は娯楽作品として大層面白かった(未鑑賞ならDVDで是非)のであの感動再び!ってことで「秒速5センチメートル」を見た人は結構多いのではなかろうか。だが、そんな娯楽性を求めてる人にこの映画はお勧めできないと思った。何故なら終わった後味が苦いから!ストーリー薄いし!恋愛物と見せかけてドラマティックな展開は実は少なかったりする。その分モノローグや風景描写といった場面設定要素が妙に充実していたりするが。よってこの映画を最も楽しめる?人は過去に似たような経験(初恋を引きずってたり)がある男性だろうか。綺麗に描かれる単純化されたシビアな現実に苦笑いすること請け合い。唄に感情移入するようなものかね。そう考えると最も破壊力の強い3話の構成も納得できる。「山崎まさよしの歌を笑えない人に」は上手いこと言ってる。

雲のむこう、約束の場所
新海誠 吉岡秀隆 萩原聖人
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