300

劇場予告編を見て何となく気になっていたので、部下二人を引き連れて先行上映を観てきました。この作品、海外では中々のスマッシュヒットらしい。でも全映画中No1とか2007年度現段階No1はともかく〜の2倍の興行成績!とかは微妙な表現よね。いつものごとくレイトショーだったのですが劇場はほどほどの混み具合。場所柄レイトショーは基本的に人少ないので結構善戦してる方だけど、流石にスパイダーマンとかパイレーツオブカリビアンとかと比較すると全然でした。面白かったのが、上映中に席を立って(トイレに行った?)人が大変多かったこと。普段めったに見ないのに(1〜2回)人数からすると相当多かった気が(6〜7回)。衝撃的なシーンが多かったからかなー(R15です、これ)。


あらすじ

紀元前480年。ペルシア帝国のクセルクセス1世がその圧倒的な軍事力を背景にスパルタに服従を要求する。スパルタの王・レオニダスはペルシア大王の使者を殺しこれを拒否。ペルシアとの開戦を望んだがスパルタの法により開戦には聖職者の許しが必要だった。だが、欲と自らの保身に囚われた聖職者達はスパルタ軍の出兵を禁止する。服従も降伏もスパルタ戦士には許されない、それに戦わねば国は滅びる。そこで王は、彼らは王の親衛隊であってスパルタ軍ではないと言う形で、300人の精鋭を引き連れペルシア軍の侵入を食い止める為にテルモピュライに陣を構えた。300人のスパルタ戦士 vs 100万人のペルシア軍との戦いが今、始まる―


ウホッ…いい男たち

この映画の主人公であるスパルタの王・レオニダスは『オペラ座の怪人』で一躍有名になったジェラルド・バトラーが演じてます。"怪人"にしてはワイルドな風貌で話題になったジェラルドが今作では誰が見ても文句のつけようのない腹筋の狂気すら感じさせる"戦士"になっております。…まぁ元々いいガタイしてんなぁとは思ってましたが「仮面の紳士」⇒「筋骨隆々のスパルタ戦士」ってのは流石にインパクト大。強国ペルシアの王すら恐れさせる暴力性を発揮しながら、時折王としての威厳をも醸し出していたのが大変GJ。前半の「This! is! スパルター!!」とか後半の「スパルタの300(スリーハンドレッド)の精鋭たち!!」(実は十数人死亡しているので300人はいないのは秘密だ!)とか痺れますよ。これはいい当たり役だわ。
そしてレオニダス王が引き連れる300人の精鋭もまた凄い(主に腹筋が)。ちなみにスパルタ戦士の格好は、黒いパンツに兜と赤いマントのみという大変漢らしい格好となっております(それは王といえども例外ではない!)。実際スパルタ兵300人全員を役者が演じてたのかモブなのかはわかりませんが(多分モブ)実際役者が演じていて動いていた人数も相当な数なのであれだけムキムキの役者さんを集めたor鍛えたことを考えると相当な困難が…。黒パンツいっちょで兜にマントに盾と槍で武装した300人の筋肉ムキムキの漢が仁王立ちって敵じゃなくても((((;゚Д゚)))ガクガクガクブルブルブルもんですよう…。


戯画的なCG処理

で、もう一つこの映画の特徴となっているのが戯画的な…コミックを意識した?CG処理。スタッフロールでもCG担当が単純物理格闘アクションメインの作品とは思えないほど大人数使われている辺り、力の入れ具合が垣間見えます。大軍 vs 大軍というのをウリにしてる映画は『ロードオブザリング』とか『ナルニア王国』とかが容易に思いつきますが、傷食気味なのも事実。暗い画面で大軍 vs 大軍を俯瞰視点で描くことの多い今までの作品と違い、この作品は彩度を上げた白っぽい画面で戦闘中の数人を中心に描くことが多いのが異なります。『マトリックス』のように回る視点に要所要所で効果的に使われるスローモーション。現実の血液以上に(エフェクト的に)派手に飛び散る血液そして首。戦闘シーンを切り出してみると正にコミックの1シーンのよう。革命的、ってほどでもないけど軍団同士の戦闘シーンでは今までに無いアプローチで新鮮であった。外連味のある映像、とも言える。


お話は…

期待するな。というか、そもそも史実を題材にしてるんで展開も結末も固定だから(細部は大幅に脚色されてるけどなー実際は300vs20万強だし)。お話はあって無きがごとしなので展開が面白いとかは無いと思う。スパルタの戦士達がただの戦闘狂でなくて、自分たちの仲間、家族を守る為に誇りを持って戦っているという描写は好感触だったけど。一人の崩れが全体の崩壊を招きかねないファランクスって戦闘方法も示唆的ね。EDはあの展開からどう繋げるか一抹の不安があったのだけど、まずまず上手くやったと思う。残虐なシーンが多い割りに観たあとは割りと爽やかw。



と、いうわけでお話に期待されても肩透かしを喰らうと思うのだが、斬新な映像表現が好きな人、燃えを求める人、古代ギリシアに興味を持ってる人にはお勧めかも(間違っても「木にあこがれるよーウヒヒ」とか言う人にはお勧めできない)。感動とかそういうのではなくて、ただただ「凄ぇ」と言うだけなのだが。初期コンセプトがフランク・ミラービジュアルノベル?の映像化だったらしいのでその観点からは十二分なデキではないのか。


4796870369300(スリーハンドレッド)
フランク ミラー 関川 哲夫
小学館プロダクション 2007-05-18

B000HDANBGゴッド・オブ・ウォー カプコレ
カプコン 2006-09-28