「黄昏色の詠使い(2)-奏でる少女の道行きは」

『さあ、あなたの道行きを教えて』
「――意地悪」
「あんた、ホントは分かってるんでしょ」
『とても好(よ)い。名詠士に在らざる少女よ。それは、とても好い決意(こたえ)です』


あらすじ

「赤・青・黄・緑・白」の5色を基本に呼びたい物と同じ色の触媒を介し、その名前を賛美し詠うことで招き寄せる『名詠式』。
その名詠式を学ぶ学園トレミア・アカデミーの競演会での惨事から二週間が過ぎた。幸いにも人命には被害がでなかったものの、校舎はいまだに補修中であり今年の夏季集中補講は移動教室として海の近くの分校で行われることとなった。生徒達にはちょっとした臨海学校の様子を呈していたが、教師達には事態はそれでは済まなかった。競演会の惨事を引き起こした原因―"孵石"の精製施設が分校の近くにあることが判明したためだ。教師達は補講で教鞭を執る一方、その施設の調査も行う予定となっていた。
周囲の学生が浮かれている中、自らの在り方について思い悩む少女がいた。エイダ・ユン。彼女は図らずもこの事態の中で大きな決断をすることになる―


カインツドコー?

前巻が大変綺麗な終わり方であった為、そこからどう繋がるのか「難しいだろうなー」と思いつつ期待していたのですが…主人公違うじゃん。前回のお話終了後から始まって、主要登場人物もほぼ再登場と紛れもない続編ではあるのですが肩透かしを喰らった感じ。夜色とネイト&クルーエルそしてカインツ関係の話が来るものとばかり…。
基本的には面白かったのですけど。エイダのお話も容易に展開がわかってしまうのが難といえば難ですが、要所要所でいい表現がいくつもあったし、特に灰の真精との相対時『祓名民(ジルシエ)』の讃来歌が流れるシーンは震えがくる格好良さ。燃え。綺麗な作風―品があるって言うのかな…を保ちつつ今巻は結構コメディー要素も描けているのも素敵。萌え。主にネイト。デビューから2作目ということを考えると、これだけ書ければ基本的なレベルは相当高い気がしなくも無く。前巻ほど「お前ら秘められた力に目覚めすぎ」という展開がなかったのも好印象。これは今回はエイダのお話だったからな気もするので次巻からどうなるかはわからないけど。
と、いうわけで別に質が落ちたって訳ではないのですね。単純に前巻のお話の方が好みに合ってた、という話です。あと、2巻の段階では考えてもわからないことですが、この段階で『祓名民』のエピソードをやる意味があったかどうか。研究所のお話だけなら別のエピソードに絡ませても…本筋と絡ませることもできたでしょうし。現段階では、エイダの今回のお話を語るのは唐突に思えることもあったかなぁと。これはもう少し刊行されないと何とも言えないとは思う。まぁ次巻は灰色!夜色?イヴマリー?カインツ!な具合なので期待。夜色トカゲも再登場?アマデウスの詩、なだけに。

■感想リンク■

4829119187奏でる少女の道行きは
細音 啓
富士見書房 2007-05




翔けぬける風に心を例えて

あとがきの感想、或いは全く別の物。
前巻の感想を書いてる時、いい例えが思いつかなくて結局「良くも悪くも大変綺麗な物語」という言葉を使ったのですけど、「志方あきこの楽曲」にイメージが被るなーという考えがあったのですよ。「ただひたすらに綺麗」「悪意(負の情念?)が無いor軽い」「仮想言語」という点辺りが。誰々の曲という感じ、と言われても何のことやらですし本文にも絡ませられなかったのでそのまま没となりましたが。
今回、本文⇒あとがき⇒あとがき最終行で志方あきこ『蒼碧の森』を聴きながら―ってのを見かけて「やっぱりね」やら「してやったり」感が沸々と。たまたま聴いてただけかもしれないけどな!…でも作風にイメージ合うんですよねぇ。常人に詠えない所とか(仮想言語ありあり+多重録音なんで…)。
とりあえず最新アルバムを っ『RAKA』。商業で出したアルバムはこれを含めて2枚。同人でいくつかあるが商業で出したのが「かなり良い曲目」なので商業の方だけで十分な気も。満足度も順当に1作目<2作目なので1枚を薦めるならこれ。視聴も。蒼碧の森が幸いにして視聴あり。個人的には『金環蝕』『蒼碧の森』『謳う丘〜EXEC_HARVESTASYA/.〜』がお気に入り。謳う丘〜繋がりであのsnegゲームのアルトネリコにも曲を提供していたりする。まぁ謳う丘〜はアルトネリコOPの完全版的扱いなのだが。ゲームはともかく(そんなに悪くもないけど)、曲はあっちも良いです。『EXEC_CHRONICLE_KEY/.』と『EXEC_PAJA_M/.#Misya extracting』がいいね。
ジャンルはヒーリングとなってるけど…何なんでしょ?ワールドミュージックのケもある。澄んだ高音、多重録音、仮想言語辺りがキーワードか。エンヤとかアディエマスを参考にすると話が早い。割とメロディーラインがキャッチーなのと、「日本語で歌詞がわかる」(これ重要、仮想言語でどうしようもない場所も多々あるが)のでエンヤとか好きで結構買うんだけど思ってたより聴かない人とかに是非お勧めしたい。
B000C1YXSM「星詠~ホシヨミ」-Ar tonelico hymmnos concert Side 蒼-
志方あきこ/石橋優子 志方あきこ 石橋優子
ハッツ・アンリミテッド 2006-01-25