「サージャント・グリズリー」
「え、ていうか二人ともここに住んでたの？」
「何、文句ある？」
「ご、ごめんなさい……」
「邪魔」
「本当にごめんなさい。生まれてきてごめんなさい。存在していてごめんなさい」
「へぇ、自覚はあるんだ」
「ニヤニヤしてんじゃないわよ、豚」
「ひ、ヒィッ！」
「少年、きっついお嬢さんも堪らんじゃろ？」
「正直、ちょっと嬉しかったです……」
あらすじ
いじめられっ子、玖流玖準のクラスに転校生がやってきた。その名も"グリズリー・軍曹"。マッチョな体に軍服で頭にハイイログマのぬいぐるみを被ったその人物はどうみても男…なのだが周囲の人にはクールな美少女に見えるらしい。最初は軍曹に強引に友人にさせられた準。だが、不良との一件以来二人の関係は良好な物となっていった。そんな二人の共通の知人である赤井空。軍曹とは剣道場での模擬戦で知り合った仲なのだが、その時の凄まじい決闘のせいで彼女は部の中で浮ついた存在になってしまっていた。何事にも真面目な軍曹は、責任を取り彼女の悩みを解決するために協力することにする。目下、空の最大の悩みは中が悪い双子の姉妹・美月のことだった。対策を検討する一行。だが話し合いの最中に当の美月から空に呼び出しが入った。だが、どこか様子がおかしい。そう思っていると美月は真剣を持ち出し試合を挑んできた―
お察し
《巨大なクレイモア、ただし今はベトナム戦争中》みたいなっ!ファミ通文庫の第9回えんため大賞・特別賞受賞作品。新人さん。
クラスに転校生がやってきた。だが熊、されど美少女。表紙も含めて確かに初見のインパクトは大。軍曹の行動はいかにも熊らしいのに、周囲の人は美少女と見ているシュールさ、彼女によって引き起こされるカオスな展開が売りだとは思うのだがどうにもレベルが高すぎて、笑うツボどこ？状態。
どっちかというと周囲の人の意見を元に、軍曹(美少女版)の姿を妄想してニヤニヤするという微妙な楽しみの方が多かったのは秘密。押絵で抑えられてるし、途中で安易に露出しなかったのは良かったかも。…最後まで楽しみが残ってて。
あと特筆すべきは、きっついお嬢さんの罵りの多さ。人数自体は少ないものの、どちらさんもかなりのサドっぷり。美少女からの罵倒は値千金。いついかなる場合でも、その手の展開に持っていこうとする気迫が感じられた。…罵りの場面の方がまだ好みなのは、どうかと思うんだけどね。
今までに無い斬新な設定に、常人では描けないストーリー展開。まさに特別。読んだ後に、胸の内に蠢く感情を味わいたいのであれば読んでみるといいんじゃないかな？だが、間違っても素人にはお勧めできない、諸刃の剣。
他の人の感想のほうが参考になるよ！
■感想リンク■
 | サージャント・グリズリー (ファミ通文庫 あ 10-1-1) 彩峰優 bomi エンターブレイン 2008-01-30 |
