「らき☆すた らき☆すたオンライン」

「これ、かがみに似合うかな?」
「ど、どうだろ?何せ、元が巫女さんだからなー」
「いやいや、元祖ツンデレもメイド服着てたし、かがみ、似合うかもよ?」
「誰がツンデレだ」
「ほらほら『お帰りなさいませ、ご主人様』って言ってみて」
「やだよ……」
「やー、やっぱ、かがみにもピタッと来そうだねー」
「……なんだかなー。まあでも、白の水着よりはマシか……ほら、貸しなさいよ、着てあげるから」
「よし、これはみゆきさんに着てもらおう」
「な!?」
「ちょ、おま、今の話の流れなんなんだよ!?」
「あれあれー?かがみ、メイド服着たかったのかなー?」
「ちっ、ちがっ……!!」


あらすじ

陵桜学園の全校集会はもめにもめていた。
と、いうのも今年から学園祭で全校規模の出し物をやることになり、その内容についての議論が白熱していたためだ。各自自分勝手な意見を述べる中、教師・黒井なな子の鶴の一声が響く。

「このオンラインRPGの対人戦で決めたらええんちゃうかなぁ?分かりやすく勝ったモンの言うことを聞くっちゅーことで」

生徒達は学園祭の準備でハイになっているせいか、これに賛同。学園祭の出し物決定権を賭けた全校生徒によるオンラインゲーム大会が今ここに始まろうとしていた―


題材は悪くないけど

「これは…駄目だろjk」なデキだった前作ノベライズ版らき☆すた。10台前半の少年少女の絶大な声援を受けて(あとがきより)再び刊行。jkは女子高生って意味らしいよ!
前よりはマシ…だけどまだ微妙な感じ。
前作は題材がそもそも作品の雰囲気と全く合ってなくそこから駄目駄目だったのに対し、今回はオンラインRPGとわりと親和性が高そうな題材。オンラインRPGの対人戦といっても、経験者ならわかる廃人支配優先や仁義無き戦い、酷い晒し合い等々ハードな描写があるわけでもなく、数値もてきとーでゆるゆるな雰囲気。キャラがあんななんで、必死こいて殺人物のミステリやるよりは、こっちの方が読んでて全然楽しいと思います。なんだかんだ言って、作者もコメディ風味の掛け合いは上手いしな。お約束のキャラの掛け合いを楽しむという点ではまずまずのデキだと思った。
ただ、お話としてはやっぱり駄目駄目。一応、ストーリーの流れらしき物はあるにせよ非常にgdgdで「お前それで良いのか?」と問い詰めたい。ある意味デウス・エクス・マキナ。このてきとー感が魅力ではある一面もあるにせよ、その場のノリと思いつきだけで進むストーリーに何の意味があるのでしょうか?
…本家らき☆すた(漫画版)もお話は全く面白くないわけで。漫画版も実際にはそれなりに面白い、けどそれはノリとネタと共感(とキャラの魅力)による部分でお話はウェイト低いと思うんだ。なのに、それでもしっかり(gdgdな)お話を(一応)最後まで描こうとしているこのノベライズ版はどうなのだろうか?いい部分があっても相殺されてしまうんだぜ。『生徒会の一存』はその辺り上手いことやったなぁ、と思う今日この頃であった。
…あと、前巻ではまだ許容できたものの、作者が執筆している作品の広告ネタが多いことには辟易した。ちとやりすぎ。『秋桜の空に』のリニューアル版の話は初めて知ったけど…
4044712042らき☆すたらき☆すたオンライン (角川スニーカー文庫 183-4)
美水 かがみ 竹井 10日
角川書店 2008-03-01