「デュラララ!!×4」

――私は怪物、私は人間。
――どちらでも構わない。どちらでも構わない。
――人生は選べない。始まりも、結末すらも選べない。
――生き方を選ぼう。私はただ、生き方を選ぼう。
――今朝の運び屋さんにしてもらった事は――
――私にとっては、全財産以上の価値がある。
――例え明日までの命だとしても、
――例え千年生きるとしても、
――怪物として、人間として、
――抗おうとも、受け入れようとも、
――ただ、その全てを楽しもう。


「……サービスの御礼ぐらい、させてください」


あらすじ

「黄巾賊」と「ダラーズ」の抗争、『リッパーナイト』から2ヶ月が過ぎ今は4月の中旬。
一連の事件の後、紀田正臣が姿を消すなど色々な変化はあったものの、帝人と杏里も2年に進級し、落ち着いた日々を過ごしていた。新学期といえば、新入生。あの折原臨也の二人の妹も今年から高校生。そして同じく新入生の黒沼青葉にダラーズの一員であることを指摘された帝人は、話の流れから池袋の街を案内することになる。
一方、デュラハンのセルティ。彼女はテレビに映ってしまったことにより、突然自分に賭けられた懸賞金目当てのチンピラ共相手の対応で日々紛争していた。
そして更に、『哲学する殺人機械』と殺人鬼『ハリウッド』といった物騒な面々が各々目的をもって池袋の街に集まってきていた。
複雑に絡み合う彼らの関係。この事態は一体どこに集束するのだろうか―


いつものだねー

前作×3から1年以上経って久々のシリーズ続編刊行。筆が遅いってことは断じてなく、逆に早い部類だがここ一年は『バッカーノ!』の方に注力してた感じかね。超佐大橋シリーズも完結したと思っていたが『5656』?が出るらしく、一つのレーベルで5シリーズ同時展開ってなんだそれは。そりゃ、間隔開きますわね。 おかげさまで内容忘れるの余裕です^^ まぁ前作で一区切りついてるので、ストーリーを追う分にはそれほど問題なかったのだけど。ただ、チャットのハンドルネームを思い出せなくて困った…『バキュラ』が。調べてみたら紀田正臣でした。今回は影も形もないと思ったけど出てるじゃーん。
読み終えてみて。十分期待に応えたと書くか、期待以上のものは無かったと書くのか、そんな感じ。
いや、面白かったよ?旧キャラが既に非常に個性的な面々で、奴らと張れる新キャラを出すのはなかなか難しいだろうなーと思ってたらそんなハードルは容易く飛び越えてくるし。恒例のザッピング的な視点がころころ変わる描き方も健在。よくもまぁ、これだけ視点も時系列もバラバラに描いて、複数のラインのお話を一つ所にまとめることができるものだと。この辺、この作者だと当たり前で関心薄いけど実は相当に難しいのではないのかね?『バッカーノ!』とかと比べてネタに走りやすいのも魅力か。ツンデレ町歌とか。
問題は少々盛り上がりに欠けたこと。複数のお話を巻き込んだ決着の付け方とか、綺麗に纏まってはいる。だが、どうにも一つ一つのお話が(このシリーズにしては)小規模な感じなので全体としてカタルシスが足りないのが不満かなぁ。×2を読んだ時の「こういう展開に持っていくとは!」とか×3のラスト付近と比べると、どうもね。新キャラの顔見せとネタの仕込みで今回はしょうがないところかしらー。だけど、これで日常編なんだぜ…(あとがきより)。まぁ『序』ですね。これが『破』とか『きyr』になったらと考えると…十分期待の持てる終り方ではないだろうか。
新展開なのでこの巻からでも大丈夫な気もしないでもないが、特徴的な作風もあり、やっぱりシリーズを読んでる人限定か。他のシリーズと共通している設定もあるのでよく訓練された成良ファンなら更に楽しめるであろう。…今後、怪物絡みで『ヴぁんぷ!』も入ってくる予感。
4840241864デュラララ!! ×4 (4) (電撃文庫 な 9-26)
成田 良悟
メディアワークス 2008-03-10