ザ・マジックアワー

会話の流れの中で「今度映画でも観に行きますかぁ」となったので本当に久方ぶりに友人と劇場に映画観に行ってきました。
いや、出先で行くことは数回あったのだけど実家帰ってから地方の映画館に行くのは本当に久々ってことで。距離的には相当近いのだけど、あんまり一人で観に行くのは気がすすまないものですね。
で、今回は『ザ・マジックアワー』。先週公開、夕方6時台で人の入りはぼちぼちといった所。夕食どきにしては結構健闘しているか。当日はインディのクリスタルスカルが先行公開されてたんでそっちの方が混んでたとは思うのだが。そっちも来週いこうかしら?


あらすじ

港町・守加護を牛耳るボスの愛人に手を出したことがバレてしまった、しがないギャング・備後。ボスは備後を見逃す代わりに伝説の殺し屋"デラ富樫"を5日以内に連れてこいと要求するが、期日が迫っても殺し屋のの行方は知れず。窮地に陥った備後は苦肉の策として、売れない俳優を映画撮影と騙して"デラ富樫"を演じさせようとするが―


良質なシチュエーションコメ

希に見る大笑いできる映画。コメディは結構見ること多いのだが、これだけ観客が遠慮なく笑う所を見るのは久しぶりかも。
映画でありながら、どことなく舞台を意識させる独特の雰囲気は健在。だが、今回は内容にちと変化があったかも。前作の『有頂天〜』もかなりコメディだったが、より"普通に"コメディしてると感じた。三谷監督の今までの映画はベースラインほぼ喜劇一色だが、題材の選択とかちと変わったストーリー展開とかややマニアックな印象があった。が、今回はストーリーもわかりやすく題材も『古きよき映画』といった微妙に人を選ぶ内容でありながら、極端にそっち方面に走ることもなく一般人が素直に見て楽しめる内容だと思う。逆に、オマージュとか捻ったネタを期待してると肩透かしかもしれないのだけど…そういった映画じゃないでしょう?
笑い所としては、やっぱり佐藤浩市演じる映画俳優の"デラ富樫"っぷり周り。いちいちオーバーアクション気味でそれだけで、多少面白かったりはする。だが、それ以上に「映画撮影だと思っている本人」と「本物の殺し屋だと思っている周囲」の間で、繰り広げられるズレのある会話が、状況状況でピタッと強引に嵌っていくのが大本命。個人の言動より、そのシチュエーションが生み出す状況自体が面白い辺りがわかっていらっしゃる。部屋に入る度に(撮影だと思ってるから)同じ言動を繰り返す所とか、カット関連の展開とかフイタ。
結末も、徹頭徹尾シナリオ通りに行くのかと思ったら、ちょwww放棄しちゃうんだ?→まぁ結果オーライか→このデラ富樫、ノリノリである と(何のことやらですが)満足の行く結末になっております。やっぱ脚本上手いわー。
というわけで、わかりやすく笑える良質なコメディで満足した。敢て大画面で観る必要はないかもしれないが、面白いのでお勧めではあるよ。序盤(デラ富樫登場まで)の掴みが弱い気はちょっと感じたが。
4835612019「ザ・マジックアワー」 オフィシャルブック (ぴあMOOK)
ぴあ 2008-05-23