第九地区

そこまで遠くに行かなくても上映している劇場はあるのだけど、週末にロングドライブも兼ねて仙台の109シネマズまでわざわざ観に行ってきました。
『人類、立ち入り禁止』というキャッチコピーとスラムの上に巨大なUFOが鎮座しているというポスターは印象に残ってたものの、特に観に行く予定は無かったのだけど、こことかtwitterで愛すべきB級映画っぽいと知って「これは早急に観るしかねぇ…」と。
実際見てきたのが4/18日。映画館は大混雑!勿論それは第九地区目当てではなく封切り翌日だったジョニー・デップのアリスとのだめ最終章目当ての人で混雑してたんだけどね!そして劇場に入ったら…おい日曜の昼で10人くらいしか観てる人いないって…


あらすじ

南アフリカ共和国ヨハネスブルク上空に突如宇宙船が出現。しかし、船が故障してしまったため船内の者たちは餓死寸前。調査員達に命からがら救助され地球に降りてくる。28年後、乗船していたエイリアンであるエビ(外見がエビに似ているため)たちは地上に移り、隔離地区である第9地区で難民として地球人と共存していた。そこは人間とエビの争いが絶えないため、MNUと呼ばれる超国家機関によって管理・監視されていた。MNUの社員であるヴィカスは、エビたちを彼ら専用の居住区域である第10地区に移住させ、地区からの立ち退き要請の同意を得るため第9地区を訪れるが、その道中に見つけた謎の液体を浴びてしまい…。


いい意味で『これはひどいw』

ヨハネスブルグに宇宙人襲来させたらカオスで面白くねぇ?
→ちょーおもしれぇぇぇよ!
という映画になるんだかならないんだかわからないが確実に面白そうな思いつきを映像化した段階で(見た目に)面白くないわけがない。
冒頭、凄まじい存在感を放つ巨大な母船に調査団が派遣され、さぁ中に突入して鬼がでるか蛇が出るかと緊張して画面を見続ける我々→ライトの光に照らし出される水生生物的なシルエットをもつグロテスクな異星人の体の一部→ライトの光を真正面に向けると…→母船が故障して餓死寸前でしたサーセンwwwww
街中でいきなりゲロを吐き出したり、小便をたれ流すエビ!猫缶まっしぐらで母星の超兵器を躊躇なく放棄するエビ!なんかどこかのテンプレ通りのスラム街でエビ共とカニバリズムはいったギャング共(とやたら近未来的な色彩が気になるMNU)が繰り広げる低レベルな争いはB級映画の真骨頂。
一方、主人公側の濃さも負けてはいなかった。エビの卵を焼き払っといて(中絶です)「ポップコーンの音みたいだぜ!ヒャッハー」みたいにテンション上げたり、「人も、エビも撃ちたくない…!」→「仕方ない、正当防衛だ!」と一瞬で意見を変えてみたり、挙句の果てにはエビ共と性交渉を持って周りの人々に引かれることになるヴィカスさんまじぱねぇw…こやつは確かにどこにでもいる人かもしれないが「いい人」ではないのは確定的に明らか。
そして作中に出てくるエビの超兵器の破壊力が凄まじくオーバーキル気味で、人間やらエビの体が一瞬で爆散とかが日常茶飯事。人体の内容物がカメラにかかる演出もあったりとかなりの悪ノリっぷり。ある意味シュール。隣の劇場で不思議の国のアリス見たいにファンタジーで夢に溢れた映画やってるのに「俺はどうして日曜の昼下がりにこんなの観てるの…」という気分に不覚にもなってしまったり。うん、これはひどい。確かに「これはひどい」んだが、予算やら物量では決して到達できない「これはひどいwwww」感とでもいいますか、このやり過ぎ感がたまらなく愛おしいのも確かな感想だと思うのよ。ひどいが、面白いよ?


あと、個人的には蛇足だと思うのだけどノリで楽しむじゃなくて真面目な見方をする余地が残されている、というのも魅力の一つ。異星人が地球にコンタクトをとってくる映画なんて星の数ほどあるのだけど、それ自体が大きく『和解派』と『徹底抗戦派』に分けられると思う。主人公も並外れた能力で戦闘で活躍したり、魅力的な人間で異星人とコミュニケーションとったりしてな。が、この映画にはそのどちらも本筋としては存在しない。地球人とエビは中が悪いけど、基本エビは単なる烏合の衆でしかない。ヴィカスさんもインテリエビと一時的に協力体制を取るけども、それは自己都合でしかない。そもそも主人公があんなヘタレで周囲の異星人がgdgd感漂う集団なのに映画としてテンポがよく、わかりやすくて続きが気になる展開になっているのがレアで面白い点だと思う…の。
アパルトヘイト関連はわかり易すぎるオマージュなので割愛。最初はもっと気になるかと思ってたが観てると段々気にならなくなってきた…と思ったら「3年」「3年」という言葉で強制的に気付かされる罠。

 
B0036VO2RW第9地区 [DVD]