「曲矢さんのエア彼氏3 木村くんの電撃結婚」

「あんな嘘、誰が信じるって言うのよ」
「ただ、カントの言いたいことはわかったけどね」
「俺の言いたいこと?」
「あんなくだらない嘘をついてまで、あたしに消えて欲しいんでしょ?」
「や、それは……」
「好きにすれば?」
「消すも消さないも、あんたの意志じゃん」
「ま、待っ……」
「そうじゃないでしょ!」


「消えて欲しいなら、『さよなら』って言えば?」


あらすじ

決意を固め、俺は10年間眠り続けた「彼女」に会いに病院に行った―はずが、病室には誰もいなかった。いや、いる、らしい。だが、俺には見えない。彼女は透明人間だった。わけではなく、曲矢によれば、俺はエア彼女を作り出したせいで本当の彼女が見えなくなっている。ありえねぇ。だが曲矢は言う。エア彼女とさよならしない限り、俺は本当の彼女には会えない。そしてエア彼女と別れるためには、自分と結婚するしかない…って、んなわけあるか!


初円満完結?

九朗せんせの初の3巻にして、同時に初のシリーズ円満完結だったり?『神様の悪魔か少年』だけ読んでないので円満完結という点は怪しいが、最高巻数であることは確かか。
流石にシリーズ最終巻だけあって『結末は』かなり綺麗に纏まっていると感じた。エア彼女やらエア結婚やら、腹黒電波ヒロインやらお話を掻き乱す要素だけで構成されていると言っても過言ではないシリーズなのに、何時の間にやら『ちょっといいお話』でしっかり『青春モノ』していたのは良かった。まさかエア彼女とのプレイが自分の過ちを認めたり過去との対峙に繋がっていくとは…ふしぎ!
ただ、結末はいいのだけど、そこに持っていくための展開が強引というか今までのお話関係ねぇ!といいますか。曲矢さんの自分だけ大事な暴走っぷりは味としておいても、ね子のことやらバトル要素やらは蛇足だったようにも思えた。ぶっちゃけ前巻からの幽霊使いネット関連はそもそもr 杏子とカントと曲矢の3人でドロドロに密度高めて切磋琢磨して言った方がよかったんじゃないですかねぇ…ピサやら騎士団やら他のエア関連の事が完全放置になっていってたし。
前巻がとても続きを意識した作りになっていたのでもしかしたら続きでるかも…とは思っていたが実際に完結すると(九郎先生だけに)とても感慨深い。『樹海人魚』とかも好きなんだけど、今はどんな状況になってるのかわからないので…
4094512012曲矢さんのエア彼氏 3 (ガガガ文庫)
うき
小学館 2010-04-20