X-MEN:ファースト・ジェネレーション

何時の間にやら4作目にもなってた(スピンオフ含めると5作)映画版X-MENシリーズの一番過去の話を描いたシリーズ最新作…と書くとどこぞのEp6まで出してからEp1に戻ったシリーズを彷彿とさせますね。
先週はちょっと遠出してたので封切り1週間程経過してから視聴。劇場の込み具合は…土曜日のレイトショーなのに自由席でも結構ガラガラ。まぁ、地元では花火大会とか某大物アーティストのライブと被ってたしその辺りも影響してたりするのか。


あらすじ

国際情勢が緊迫する1960年代。裕福な家に生まれ、名門大学に通うチャールズと、母親と引き裂かれた悲しい過去を持つエリック。チャールズは強力なテレパシーを使うことのできるミュータントだったが、自分と同じような能力を持つ者の存在に気付きはじめていた。そんな中、強力な磁力を発生させ、あらゆる金属を自在に操れるエリックとめぐり合う。ミュータントとして人類と闘うべきか共存すべきか、異なる信念を抱きながらも友情を深めたふたりは、世界各地のミュータントを仲間に迎え入れていく。しかし、戦時中にエリックの母親を殺した元ナチスの科学者ショウが、ミュータント集団“ヘルファイヤークラブ”を結成。やがてショウが悪魔のごとき計画を実行に移したとき、チャールズとエリックはその野望の阻止に挑むが、過酷な運命は彼らの絆を引き裂き、人類との“共存”か“支配”かという正反対への道へと導いていく―


安定した面白さ

キック・アスの監督もやってたマシュー・ヴォーンはこのシリーズ初監督なのに『安定』というのもおかしな話だが、実際そういう印象を受けたのだから仕方がない。ファースト・ジェネレーション→X-MENの結成の由来に関わる部分のお話→結末が決まっている…ということでお話の展開自体には驚きは無い。が、それでも130分という長時間、最初から最後まで興味をもって楽しく見れたのは監督の堅実なお仕事のなせる技だろう。ある意味やりたい放題やってたキック・アスとは対極かも。
第一の理由としてはストーリーの展開のペース配分が上手いことが挙げられると思った。エリックの過去話からマグニートーを名乗るようになるまで、重要なエピソードが過不足なく取り上げられ、かつ映像化した場合の尺も端折りすぎず長すぎず丁度いい塩梅。おかげで(そんなに難しいストーリーではないけどw)キューバ危機とミュータントと人類の軋轢がメインのストーリーがとてもわかりやすく描かれているのが好印象。ただ、最初のナチスの偉い人=ショウってのは公然の事実なんだけどエリックが成長してるのに見た目何も変りないから最初は「最初のナチスの偉い人っぽいけど誰こいつ?」とか思ったのは秘密だ!
第二の理由としては、ファンサービスや息抜き要素も程々に入ってて時折「ニヤリ」とさせてくれたこと。ストーリー全体としてはシリアスで重目ではあるのだが、そういった要素が一服の清涼剤となっていい緩急がついていたと思う。誰でも楽しめるコメディ風味のシーンはともかく、冒頭の過去シリーズそのままのシーンとか、ハヴォックの破壊光線の色変更とか、チャールズの「将来ハゲるかな…」発現でシリーズファンにもサービスを忘れない。そして若かりし頃の友人だったチャールズとエリックの仲が良すぎるのも特筆しておく。もうなんか「チャールズとエリックの薄い本はやく!」とか言いたくなるレベル。BLですか?いいえブライアン・シンガーの意向です。


総じると丁寧な良作。落とし所が最初から決まっている過去話はペース配分は決めやすいものの展開がわかりきってる為に「見てるとダレる」ってことはありがち。それをアクションシーンやコメディ要素やファンサービスやBL展開でダレなく最後まで惹きつけたマシュー監督はまじできる子。ある程度はシリーズ知ってた方が(キャラクターの関係や小ネタ的に)楽しめることは間違いないが、ストーリーがとてもわかりやすい上に、一応最初の話で知っておくべき前提条件自体は何もないのでX-MENのシリーズ全く見てなくても普通にSFX全開のアクション映画が見たい人にもお勧めできる映画だと思うの。

4796870946X-MEN:ファーストクラス 明日への架け橋 (ShoPro Books)
ジェフ・パーカー ロジャー・クルーズ
小学館集英社プロダクション 2011-06-11