スーパー8

今年の6月後半〜7月はハリポタ最終作とかトランスフォーマーの新作とか大作の映画が続きますが、その1発目と成り得るスティーヴン・スピルバーグ+J.J.エイブラムスの話題作:スーパー8を封切り二日目で観てきました。恐らく真相は…と誰でも思いつくんだけど徹底してネタバレを隠す方向性のトレーラーを劇場で見て気になった人も多いんじゃないだろうか。私も他の映画の前に流れる予告編を見て気になったクチでね…バイラル広告も多数やってたみたいけど正直そっちは手順が複雑すぎてアレ(英語だし)。
土曜のレイトショーで観てきたんですが、流石に封切り二日目ということもあり客席半分埋まってたくらいと観客の入りは最近の映画の中ではなかなか上々。7月中旬の連休くらいが勝負かしら。


あらすじ

1979年のオハイオ州。ある夜、主人公・ジョーを含む六人は、自主制作のゾンビ映画を作るため、スーパー8mmカメラを持って線路のすぐ近くで撮影をしていた。そして、思いがけないことに映画の撮影中に線路上でアメリカ空軍の物資を運んでいた貨物列車と線路を走っていた一台の車が激突し、大事故となる。列車が大炎上するほどの大事故であったが、ジョー達は奇跡的に全員無事であった。電車に衝突した車の運転手、ジョー達の通う学校の生物教師であるウッドワードは、ジョー達に「今見たことを決して誰にも言ってはいけない。そうしなければ君達と、君達の親も殺される」と意味深な言葉を残して失踪。その後、街では、住民が失踪、犬が逃げ出す、停電が続くなどの奇怪な事件が続出。そして事故の調査と後処理にきたはずの空軍が街で何か企んでいるようで―


ET+スタンド・バイ・ミー…?

CMで本編を視聴した人が「ET+スタンド・バイ・ミーみたいな映画です!」的なことを言っていたような気がするが、題材的には正しいとしても本気でET+スタンド・バイ・ミーを期待すると「あれ…?」ってなる。そんな映画。正確には「宇宙人との心の交流が極端に簡素化されたET+やたらとシチュエーションが物騒なスタンド・バイ・ミー」というのが正しい。後者は実は『スタンド・バイ・ミー』ではなく『グーニーズ』でも代用可だったりするかも。『この夏一番の感動作!』みたいなのを期待してると肩透かしを喰らう。大人の庇護無しに真実に近づいていってしまう子供達が抱く「なんか軍の機密に近づいてる気がするんだけどこれってよく考えると俺たちやばくね…?」みたいな感情と実際に物理的に迫り来る危機から醸しだされるドキドキ感を味わう作品だと個人的には認識。
だが、すごくホラーでアドベンチャーな作品で感動とは無縁というわけでもない。ちょっとだけクローバーフィールドを思い出させるエイブラムス節と未だに王道のスティーヴン・スピルバーグの作風が合わさって危機的状況下における人間ドラマのあれこれはしっかり盛り込まれている。冒頭のシーンから人間関係を意識させる伏線がしっかり張られているし、流石にそこはベテランの仕事なんだが…観ている間はビクッビクッとしていた記憶の方が圧倒的に多いので親同士のイザコザとか親と子の愛憎劇は別に無くてもそんなに問題ないんじゃね?とは思ってしまった。1本のお話を展開するに辺り親子間の人間ドラマ的なストーリーは必要かもしれないが、それが面白さの本質ではないように思える。
対照的に子供達の関係は面白く感じた。爆破物マニアとノッポの名前を覚えていないのはアレだが、名前を覚えてなくてもこういった物の王道的個性のつけ方で識別はできるので別に問題無い。特にデブの子は結構名台詞が多いw 子供達の友情、淡い初恋、三角関係からくる対立、そして和解…とホラーアドベンチャー的な作品でありながらこちらも抑えるべき所は抑えているので非常に満足できた。親絡みと違うのは主人公の行動する動機に直接関わってきたり直接協力していく仲間だから蛇足感が無いのが理由かしら。危機的状況下において子供達だけで協力してなんとかしていくってのは使い古された展開だが王道は王道でやはりいいものです。


(貨物の正体は大体皆の予想通りなので)SF的に新しい物を期待したり、トレーラーや凝ったバイラル広告に触れてwktkしてる人はガッカリするかもしれないが、普通に面白いハリウッドのアドベンチャー作品を求めている人はまず楽しめるであろう王道の一本。すごく感動するわけでは断じてないが、映画を観てる間のドキドキ感と終わった後の「ちょっといい話を観た」感はなかなか好感触であった。広告展開とは対照的に至極単純でわかりやすいお話ではあるので、ちょっとグロいシーンはいくつかあるものの子供にもお勧めできる作品かも。そう考えると普通のこの手の作品と比べて上映館で吹き替え版が推されている理由にも納得がいく。ただ、夏休みに入る前に終了しそうなんだよなぁ…

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