「レジンキャストミルク 6」

「『初夜』って、意味わかって言ってんのか?」
「当たり前です」
「じゃあ説明してみろ」

「あの、マスター、それは何の羞恥プレイですか?」

しかし本筋には全く関係ない罠


口絵カラーイラストの漫画も相変わらずでそっち方面への配慮も忘れない ほのぼの×欝な学園アクションノベル緊張(?)の第6弾
近所の書店の売り場で3月新刊の内、これだけラスト1冊でありました。
売れているのか、入荷数が少ないのか…


前巻で「全一」により敵虚軸どころか作中パワーバランスが完全に崩壊してしまった感がありましたが、今巻ではお話の大前提であった「虚軸が増えると実軸に悪影響を及ぼす」という概念が崩壊(というかより大きな問題が発覚)してしまいます。今までは「日常を守る」という立場で戦ってきた晶君ですが、前巻で壮大な身内バレをしてしまいそれが困難に。当面の敵はあるものの、そんな物「全一」の敵ではなくそれを廃した後は虚軸同士の血で血を洗うゼロサムゲーム状態が開始、「全一」の使用制限もあり裏切りと陰謀渦巻く欝展開かー?とか思ってたら前述の問題で基本的に一致団結することになってました。今までの常識を壊しつつ真っ当な展開に持っていく様はなかなか好み。


ただ、前回ラストであれだけの覚悟を決めて「全一」の虚界渦開放をやり遂げた晶の虚軸側で生きていく姿勢が妙な方向に発揮されてしまったのは微妙。これは全員をより酷使する方向に出るべきだと思うが、妙に優しくなってしまったのは…。基本的に冷酷非常で人を利用する傾向にあるが要所要所で甘いというのが美点?なのに最初から謙虚なのは晶らしくない。その分、独断で動く他の面子の行動の格好よさが際立つわけですが…。
人生を全否定されたり、フル起動「全一」を超えかねない能力が出てきたり、殊子が戦力外通知を受けたりとさらに状況は悪化してる気もしますが、全員揃っての団結シーンで帳消しに。終盤に向けてどう動くかが楽しみです。

「罠を張って待ち伏せ、策に嵌めて陥れましょう、
 罠を張られても笑って躱し、策に嵌められても足掻いて抜け出しましょう。
 たとえ向こうが真でこちらが偽でも、そんなことは私たちの現実には関係ありません。
 私と貴方の偽の世界たちは現実なんかには負けません。
 故に、全員総出で全身全霊で、私たちの敵を、完全無欠に容赦なく……」

                 マイマスター
「ぶっ殺してやりましょう。私の恋人」

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レジンキャストミルク 6 (6)
藤原 祐
メディアワークス (2007/03)
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