「円環少女(7)夢のように、夜明けのように」

「あのっ……えっ……えーと、鴉木さんも一緒にしばる?」


「なんで、あたしが、あんたといっしょに、せんせを縛るの?」
「なんでかな……友だちだから?」


「な?ナニ考えてるの、この変態!せんせをしばってどうするつもりだったの?あんた友だちなんて言って、せんせを半分こなんて考えてたの?それとも、あたしのことも縛りたいの?底なしに欲望まみれのイヤらしい子ね!あんたのおかあさまが、スイカをこのまえキレイにイヤらしく縛れた理由がやっとわかったわ!このすっぱだかの変態も、あんたが手なずけたんでしょ?この変態!おとなの女の人をこんなにするなんて、どんな手をつかったの?」
「そんなことしないよ!迷惑してたんだよ。ちょっとお母さんが同窓会で留守だっただけなのに、もうわけわかんないよ!」


あらすじ

東京を核の恐怖に染めたテロリストとの戦いは終わった。
ニセ教師としての日常を取り戻した仁だったが、彼の元にメイゼルはもういない。前回の戦いの最中、命令違反を犯し独自行動をとった仁は、もはや刻印魔導師を管理する専任係官ではないからだ。
ある休日、彼のアパートに幼馴染で<<公館>>事務官でもある十崎京香から荷物が届いた。中には、十崎家で撮られた在りし日の思い出の写真が沢山。仁が写真を見ながら感傷に浸っていると、思いもよらない訪問者が―


変態祭り

『東京地下都市編』(…で、いいのかね)は完結したものの、仁が公館と決別しちゃったり本筋に関わるキーワードが最後の最後でチラホラ出てきたりと非常に気になる終わり方をした前巻。やっと続きが出たぜーと思ったら今回は短編集ですよ…といいつつ本編も多少進んでますが。短く途切れ途切れになった本編に、短編が挟まって進行していくという『マリみて』でよく見られるような形式。まぁ、形式はともかく問題はその内容。

「おい、そこの変質者。おまえ、変態だから魔法使いだろ。いったい何者だ」

ちょwwwwwww「変態=魔法使い」ですかwwwwwwwww
と、いうわけで灼熱の変態(ウィザーズ)バトル第7弾。今回はいつもと雰囲気が違うんだぜ?


しあわせの刻印
今回のびっくりドッキリ魔法人間…因果大系:内藤サミュエル
今回唯一の真面目なお話。これに限っては、いつもの雰囲気に近い。こういった本筋に関わり無い刻印魔導師の生活とか、ファンタジーなのにリアルで辛辣な描写をしてくるのが味…というか堪らんね。意外と、決着はシンプルなのだけど、理想と現実の狭間でうじうじと悩み抜き答えに辿り着く様はやはりいいものです。まぁ、それでもハッピーエンドだしいつもよりは甘口か。
そして、仁のイヤラシイ視線の描き方のノリノリっぷりは毎回異常。なにあのねちっこい表現。幼女の表現力は∞。


つながれる愛のしるし
今回のびっくりドッキリ魔法人間…天盟大系:マチルダ・クリストリッツア
駄目だこいつ…早く何とかしないと
天盟大系の高位魔導師にして、頭の中がお花畑、かつ胸から利尻昆布を取り出す女・マチルダ。まさにカオスの権化。寝巻きは裸ワイですよ?そんな彼女の言動に引っ掻き回される一同…だが後半は更に熾烈なことに。

「やっぱり、せんせをころしてあたしたちも死ぬしかないのかしら」
「……そうだね。包丁、ちょうど三本、といだトコだ」
「ちょっ!それダメだろ。なんで刃物もってくるんだよ」
「刃物こんな使い方するのはじめてだし、痛いの怖いけど、四人いっしょだったら、ガマンできるかな?」
「四人?俺、心中仲間に入ってる!?」

…カオスすぎる。


薔薇はうつくしく散る
今回のびっくりドッキリ魔法人間…賢猟大系:瀬利ニガッタ
小学校に忍び込み、縦笛やら上履きやらを採取する姿は正に真正のr

「全校生徒のみなさんは、鴉木さんとこんな機会でなければ出会うことはないと思います。………ですが、私の席は鴉木さんのすぐ前なんです……。待ってください!今からほめますからっ!」

寒川さん日頃の扱いに耐えてよく頑張った!感動した! 言うこと言うことが、ネガティブ発言になる中よくぞ最終的に良い方向の話にもっていけたものだ…。
あと新キャラ?の天瑞岬の冷静なオチが全体的にツボ。


ハダカのこころで
今回のびっくりドッキリ魔法人間…練金大系:セラ・バラード
3巻で登場した<<無双剣>>の二つ名を持つ高位魔導師。ただし全裸。
主要メンバー以外では数少ない記憶に残る人でしたが、まさかメインに据えた話がくるとわっ。そして押絵どころか、カラー口絵まで出張っているとは…なんともはや。

「あの、どうして裸なんですか?」
戦士だからだ――

その誇り高さと全裸のギャップが面白すぎるwwww

「警察は駄目だ。我々魔法使いは、ここの風習に合わぬゆえ、警察に変態扱いされる」

もうこれは「魔法使い=変態」でいいんですよね?確定事項ですよね?


笑った。面白かった。…んだが、これは人間的に駄目な方向での面白さだわwww 本編も多少絡んでいるとはいえ、顔見せ、ネタ振り程度なのでいつもの鬼気迫る雰囲気もそれほどでもないし、ガチな方向での面白さのみ期待してると肩透かしを喰らうかも。まぁここまで続けて読んでる人なら多かれ少なかれ、サドデレとかその辺に心惹かれたり惹かれなかったりしてると思うので平気であろう!…多分。
しかし、これだけ変態大集合してると<<茨姫>>ことオルガさんがリタイアしているのが悔やまれますね?

404426709X円環少女 7 (7) (角川スニーカー文庫 153-9)
長谷 敏司
角川書店 2008-03-01