「さよならピアノソナタ2」
「同志相原が、きみのことを馬鹿だ鈍感だといつも言っているけれど」
「ほんとにきみは不思議な男だね。鋭いのだか鈍いのだか、わからない。しらばっくれているわけじゃないんだよね?」
「えっと、ごめんなさい、なにを――」
「ポール・マッカートニーはベーシストだよ?」
あらすじ
天才ピアニストにしてピアノを弾かず、何故かギターの超早弾きに傾倒する蛯沢真冬をメンバーとして迎えた民俗音楽研究部。真冬の奏でる音色に惚れ込んだ桧川ナオも、ベーシストとして民音に参加することになった。メンバーが揃い、本格的にバンドとして活動を始める民音。部長の神楽坂響子の独断により初ライブへの参加、そのための海での合宿といった予定が次々と決まっていく。だが、当の真冬は何故だかバンド活動に消極的で、未だにバンドの正式名称も決まっていなかった。
そうこうしている内に、ライブの申し込み締め切りが翌日に迫り―
お前それで良いのか?
この本を読み終えて床に就いて、夢を見た。そう考えると、さよならは言わなくて正解だったのかもしれません。今までありがとうございました。
ナニ!
完結早すぎね?とか思って起きて枕元にあった本をパラパラ捲ってみたら…そんな言葉はどこにもなく。なんでこんな夢見たんだろう?
それはさておき。
結構出るのが早かった、恋と革命と音楽が織りなすボーイ・ミーツ・ガール・ストーリー第2弾!前作は下半期ライトノベルサイト杯でも2位とかなり健闘。綺麗に纏まってたので、続編がさっと出ちゃうことに少し驚いてたりも。「ナオと真冬のお話」であった前作から、バンドを組むってのを前提にした複数間の人間関係の方に話をシフトした感じ。恋愛分多目に。続編として、至極真っ当な書き方だと思う。
まず、個々の場面、台詞を見る分にはかなり「くる」物が多く、良作の予感が感じ取れた。
民音の面々もそうだが、脇を固めるキャラの台詞が相変わらず無駄に良い。 哲郎とかエビチリとかとか。濡れるぜ…。そして音楽関係の言葉が多目だがそれがさっぱりわからない(自分な)のも相変わらず。必要な所はわかりやすく書いてあるし、全部が理解できる必要も無いのだが、真冬の携帯の着信音とか補足説明的な文が入っちゃってるのが申し訳なくも思ったり。これ詳しい人が見て意味がわかるとかなり壷に嵌ると思うのだけど…。私には説明ないとさっぱり意味がわかりませんがねw
ただ、全体を通して見てみると普通…な感じが。
悪くはない、んだけど。途中の展開とか「これは無いだろ…jk」ってのもないし、綺麗な終わり方と言えば綺麗。綺麗過ぎるのか。途中、途中でそれぞれの想いとか悩みとかを扱ってる割にそれらを置いておいて綺麗に纏め過ぎた…のが気にくわないかも。あの真冬の扱いはそれでいいのか。
と、いいますか「あのバンド内の(四角)関係でそんなに綺麗に終わりがつくはずねぇぇぇぇぇぇぇよ」と。
そういう意味では、「あの激情を消化しつつ爽やかに終わった前作の結末は今思うと完成度高かったのかも」と今になって改めて思う。個々の部分を見る分には2のほうが好きなのだけど…上手くいかないものですね。
■感想リンク■
さよならピアノソナタ (2) (電撃文庫 (1570)) 杉井 光 メディアワークス 2008-03-10 |