「バッカーノ!1931 臨時急行編 Another Junk Railroad」

「ストレートに言うが……困った事に、俺は心の底からシャーネを愛してるみたいだ。
……悪い。嘘をついた。実は困らない。でも愛してるのは本当だ。……ああ、やっぱり言葉を飾るなんてのは性に合わないな。
ストレートに言うと……好きだ、結婚しよう!」


あらすじ

【マンハッタンで待ちます。何時までも貴方を待ちます。どうか探してください。】

発端は大陸横断特急の屋根に刻まれたシャーネの言葉だったのか。それは、その列車がニューヨークに到着してから数日後のこと。

  • フェリックス・ウォーケン(仮)は彼女の居場所こそすぐに探し当てたものの、実際問題どんな風に彼女に接すればいいのか決めかねていた。
  • 当のシャーネは彼女を助けてくれたジャグジー達と行動を共にするも、今までと全く違う環境に慣れない日々を過ごしていた。
  • ラッドの友人・グラハムは大陸横断特急の件で報奨金が付いたジャグジー一味を捕まえようと動き出していた。

「あの」列車の出来事の後日譚。混迷する状況の中、はたしてフェリックスさん(仮)は無事にシャーネに想いを伝えることができるのだろうか?一方、事件の裏では新たな不死者の姿も見え隠れしていて―


junction?

複数シリーズ同時進行&同シリーズ内でも変則的な出し方をしてた為に、今現在何巻なのかわからなくなってた今日この頃。改めて確認すると14冊目。通し番号がついてない&時代毎に数冊纏まって出るシリーズなのでそんなに多い気はしなかったが…結構長いわな。で、今回のお話自体は1931〜シリーズの3作目。既刊はラノベを読み始めた頃に、かなり「やられた」2冊であり、個人的にはシリーズの中では一番想いいれがある年代。アニメ化も1931だし、そういう意味ではシリーズの主軸部分と言ってもいいのではないか。
視点や時系列がシャッフルしてるのは恒例で覚悟の上。だったのだけど、今回は今までドラマCDやゲームの特典で書かれていた短編小説を元にしているらしく、そこにはちょっと変化を感じた。今回はアバウトに3本くらいのお話が微妙に絡みつつ同時進行しています。が、(恐らく)本編であるシャーネのお話はとりあえず決着はついてるものの他2ラインが「次回に続く」的な終わり方だった。上下巻構成とかだったら普通なのだけど、基本短編集でこうくるか。複数の視点が纏まって、オチが付くのを期待していたのでこの巻単体だとちょっと残念な感じもしたかな。
ただ、単体で見ると破壊力には欠ける所もあるが、繋ぎの巻としてみると優秀でないかとも思う。散発してた小話をまとめ・整理して次回へ繋げるという構成はどっちかというと後者だしねぇ。大陸横断特急が話の中心にあるから「ターミナル」って言葉が章タイトルで多様されてたけど、サブタイの「Junk」ってのもあってか個人的には「junction」ってのが役割的にしっくりくると思った。どうやら1931ラインと1710ラインがどこかで統合?されるのも含めて「ジャンクション」ってのは良いと思うんだが?…まぁcとk違いですけど。


…あと『可愛いよシャーネ可愛いよ』ってのは理論とかを超越して今巻の真理だと思いました。可愛いよ!

4048674625バッカーノ!1931 臨時急行編―Another Junk Railroad (電撃文庫)
成田 良悟
アスキーメディアワークス 2009-01-07