「命じて!服従フロイライン」

「あんたなんか幸せになっちゃえばいいのよ!!」


あらすじ

茶店「クリンゲル」の看板娘・玖鈴梅花と科学オタクの荒城健児は家が隣どうしの幼馴染。これまで健児に対して突っ慳貪に接してきた梅花だったが、球技大会で大活躍した健児がクラスの女生徒にチヤホヤされるのを見て初めて健児に対する恋心を自覚することに。そう自覚してしまったら善は急げと梅花は健児のことをデートに誘うが、その道中で橋の崩壊に巻き込まれ梅花は事故死してしまう。だが、幸いにも、健児が見つけて研究を続けていた不思議な機械のおかげで蘇る事に成功する梅花。けど、蘇生後の梅花は何故か健児の命令が無いと行動できない体質になっていて―


企画書のファイルネームは「ツンデレ.TXT」

トゥインクル☆スターシップ』の作者の新作ラブコメ
まず、最初にコンセプトありきで「先の話を敢て考えない」で書かれたお話らしい。ツンデレの幼馴染が命令絶対遵守な体質になっちゃうという基本コンセプト自体は大変夢が広がる設定でよろしいと思う。「す…好きで貴方の命令を聞いてるんじゃないからねっ!勘違いしないでよね!」とか大変かわゆすなぁ。ただ、その素晴らしい基本コンセプトを発揮する場面が少なかった影響で凡作に留まっている気がした。
最初から絶対遵守な状況なわけはなく、「命令が必要な状況」にヒロインが陥るにはいくつかの理由が必要なのは明らか。なので、1巻ということもあり、そこに至るまでの状況説明にページがかなり割かれていた影響で「ツンデレ×完全服従」を満喫できるシーンが割を喰っていたのが第一の原因かと思う。最初と最後辺りには、そういうシーンもちょこっとあるものの、どうにも命令を受けているシーンは無感情になってたりと、今ひとつ盛り上がらなかったのが第二の原因。…コンセプトに従って作ってはみたものの、どうにもそれが上手く機能していない感が漂う。キャラも悪くはないものの、テンプレっぽさが強くてこの欠点を補うには力不足に感じた。
ただ、1ページ半を丸々使用した問い詰めシーンだけはインパクト大で良かった!改行無しで延々と続く問い詰めのみょんな迫力、冷静になってよくよく考えると支離滅裂なものの、そもそもヒロイン自体のが切羽詰ってていっぱいいっぱいだったのでこれはこれで的確な心理描写と言えなくもない辺りが面白いw


と、言うわけで良かった部分もあるものの、イチオシの部分が弱く1巻は正直微妙だと思いました。次巻が出れば、この巻ほど状況説明に項を割くこともないだろうし、なにより今回ので様子を見て望むべく方向に修正していけるので1巻よりは良くなるとは思うのですけど…ファミ通文庫だからなぁ。

4757747683命じて!服従フロイライン (ファミ通文庫)
ひなたもも
エンターブレイン 2009-03-30