「げーまに。」

「私には解らないのだよ。なぜ女は男を好きになるのかという、ただそれだけのことが」
「だから私は、フィクションの中にその答えを求めているのだ。それで納得できないのならば、こう言い換えてもいい。私はアダルトゲームにのめり込んでいるというキャラを演じることで、白音への想いを隠し続けているのだ――愚かなことに。と」


あらすじ

藍園学園高校の超問題児、西村白音。学校にまで真っ白なフリル付きの服を着てくる複雑怪奇なちんちくりん。そして俺はゲーセンでの対戦をきっかけに半ば強制的にそいつが部長を務める女子電脳文化研究会―つまり「女子」ゲーム部に入部させられてしまった。しかもこの部活、エロゲーマイスターやら謎の百発百中占い女やら、まさに変人の巣窟で―


ネタの引き出しは意外と多いが

女子電脳文化研究会というビデオゲーム中心の「女子」サークルに強制入部されてしまった主人公のおくるある意味ハーレム物コメディ。
とりあえず、キャラクターの面々の名前とカラーイラストの髪の色が執拗なまでに食い違っているのが初見で気になったのでどうにかしてください。文章だけ読んでるとキャラの描き分け特に問題ないのにカラーイラスト見ると逆に混乱するというのはある意味レアケースw
内容に関して。ビデオゲームの同好会だが、実質その活動は部長の意向に従って『格ゲー』メイン。今が旬のとある格闘ゲームのネタや、伝統的な格闘ゲーム、その他にも結構な割合で専門用語が出てきたりするので、格ゲーの知識がある程度あるのならば楽しめるが逆にそういった方面に疎い人にはおいてけぼり感が結構あるのではないか
ただ、格ゲー以外にも、エロゲ、ラノベ、非電源ゲーム、表現の規制問題、ゲームが犯罪に及ぼす影響等々、奥行きはともかくネタの引き出しの方面は専門的な主題と比べて以外とバリエーション豊富。この辺りは『はがない』やら最近流行のサークル物を意識してるのかと思ったが、個人的には蛇足に感じた。基本的にネタ一個一個が単発で終わって本筋に関わってこないので、ただ「出しているだけ」感が強いのが原因かも。ネタの幅を広くして待ちを増やすよりは徹底的にマニアックな仕様にした方が結果的によくなったのではないだろうか。「暴力的なゲームが犯罪に及ぼす影響」だけは本筋に絡んできたし、その問題について強硬派(老害派?)にゲーマー側がどう説得していくか、についての展開は凄くストレートな展開でどう決着をつけるのか楽しみにしていたのだけど…あれも説得というか決着というか平行線まんまで終わっちゃったしなぁ。
オタ系サークルの日常物、ただし格ゲーメイン。本筋は決着の付け方さえよければ、いい作品になったと思うのだが正直消化不良。文章を読んで、それが格ゲーでどんな状況か認識出来るのであれば結構楽しめるとは思うのだが、正直それができないのなら微妙かもしれない。間違っても格ゲー以外の要素を楽しみにしてはいけない。
4840132844げーまに。(MF文庫J)
あきさか あさひ まはん。
メディアファクトリー 2010-05-22