「臆病者のための株入門」

まずはじめに知っておくべきことがある。
投資は偶然性に左右されるゲームであり、確実に儲かる方法などどこにも存在しない。
だが、確実に損をする方法ならいくらでもある。


表題どうり、正に『臆病者のための株入門』。株式投資を必勝法が存在しないギャンブルと仮定しつつもそれと上手く付き合っていくための考え方、手法をわかりやすく解説している。利益を求めるというより、市場の仕組みを理解してセオリーを学ぶ方向の内容、正論である。熟練者には既知の事実もあらためて書いてあり実に入門者向け。株式投資とは何なのかから知りたい人、人生設計の一部として投資を考えている人の最初の1冊にお勧め。まぁこの本を読んでも株式投資はすぐにはできないけど、読んだ後は資産の運用の仕方が大分違ってくるはず。『経済学的に最も正しい投資法』も必見。




さて、猫も杓子も株式売買だ投資信託だという時代ですが皆様どうお過ごしでしょうか。
金利時代の今(金利は上がってきているけど)銀行にお金を預けておくよりは、投資信託等で資産運用した方が堅実である……そう思っていた時代が僕にもありました。投資信託を販売している会社はいくらかの資産を託せばそれに見合った利益を上げてくれます。では、彼らの利益は?それは投資信託で生じた利益からいくらかを報酬として彼らの利益にしているのです。今は元本保障の投資信託もかなりあるのに利益が出なかったらどうやって保障してくれるのでしょうか?勿論そこには一定の利益の見込みとそれをあげる仕組みが存在します。極論すると投資信託を販売してる会社はそれらに乗っかって手数料をピンハネしてるだけともいえます、損ですね。果たしてその仕組みとは?
同様に、巷では「デイトレードで1000万円」やら「株式売買で資産を10倍に!」など株で儲けようという書籍が出回っています。が、これらは嘘ではないけどかなり不可能な類に入ったりします。そもそも心情的に得をしたら損をする人がいる株式売買でそんなに儲かる方法があるなら本を出さずに自分でやってればいいようなものです。これは心情的な理由ですが、実際に統計学上の理由も存在し、特にデイトレードに関しては確実に大金が儲かる方法は有り得ません(確実は方法は無いが儲かる人はいます)。しかし、株式売買自体は、システムを理解し長期的な視野上での計画を立てればほぼ確実にそれなりに利益を出せる余地があるのです。その方法とは?
この本はそれらの質問に対して、投資の市場の構造の理解を含め簡潔に答えてくれます。この投資を巡る市場の理解というのが肝だと思います。今現在の金融商品は正直、消費者にとって損な内容の物も多く存在します。市場の流れを理解することにより、それらに冷静な意見をもって対処することができるようになることでしょう。

4166605143臆病者のための株入門
橘 玲
文藝春秋 2006-04