「天使の飼い方・しつけ方-本編には一部ファンシーな内容が含まれております。」

「あ、そっか解ったわ。貴方これが夢だと思ってるのね?だからあえてマイペースを崩さないってわけだ。でも残念、これは現実よ!あ、違うわ!残念じゃないわよ!天使が家にやってくるなんて思春期少年冥利に尽きるシチュエーションじゃない?むしろラッキー!とか、どうしようこんな可愛い女の子にドキドキがとまらないー!みたいな?ね?みたいな感じなんでしょ? スリル&ショック&サスペンス!」
「最後の三つは関係ないだろ」


『ぼくたちには野菜が足りない』等の淺沼広太の最新作。掛け合いが楽しいラブコメ
凶悪な目つきや口数の少なさが原因で周囲との接点が極端に少ない高校生・神月ひかる。そんなひかるの元に突然癒し天使・セラがやってくる。特に癒して欲しい理由も無く、一旦はお断りするものの天使の方にも何やら事情があるらしく結局押し切られる形に。加えて、ひかるの魂を(とりあえず)狙う(やる気の無い)悪魔・イデルも登場。天使と悪魔に挟まれた同居生活が始まるが―


タイトルに騙された
と、とりあえず書いておくけどそんな駄目駄目でもなかったです。いつもの淺沼クオリティ。お話はあんまり関係無く、単純なキャラ同士の掛け合いが面白い。常にハイテンション、やる気充分なセラとマイペースで曲者揃いな他の登場人物が引き起こす勘違い空回り暴走劇はそれはそれで楽しゅうございました。
ストーリー自体は王道であり、お約束的展開多し。開始から3割の時点で大まかな展開が読めるのってどうよ?感はあるが、わかりやすいのは悪いことでは無い…と思う、思っておく。終盤のセラが自分の身を顧みない覚悟を決めるシーン辺りは今までが多分に空回り気味だっただけに、その純粋さが際立っていてなかなかに印象深かった。敵の行動や目的があんまりにあんまりだったのでそこをどうにかしてくれれば…とは思ったが。
まぁお話がどうあれ天使って言葉以外タイトルとあんまり関係ないってことはどうしても言い逃れはできないと思うけどねぇ。今回はタイトル勝という感じは多分にある…けどまずまず楽しめたのも事実。引用部分のノリが大丈夫なら、たまには気合を入れないで読めるこんなコメディも悪くは無いかな?

4086303515天使の飼い方・しつけ方―本編には一部ファンシーな内容が含まれております。
淺沼 広太
集英社 2007-04