「ヒット商品を最初に買う人たち」

50個のキーを使うかな入力より26個のキーで済むローマ字入力のほうが簡単なら、10個のキーで済む携帯電話への入力のほうがもっと簡単なはずです。でも、10個のキーしか使えない携帯電話への入力のほうが難しいと言う。
これはいったいどういうことなのでしょうか?


ゲームオタクには相手にされなかったニンテンドーDS。二流のオーディオ機器と思われていたiPodなどヒット商品の中には最初は失敗作と思われていた物が少なくない。では、その商品は何故ヒットしたのか?そのカギは、商品を最初に買う人たち=イノベータが握っていた。マーケティングの基礎教養とも言える『イノベータ理論』を最近のヒット商品の事例を踏まえて、わかりやすく解説する。


どうすればヒット商品を最初に買う人たち=イノベータに相応しい見識を身につけられるか、ではなくイノベータの存在を軸にした商品のマーケティングの方法について理論立てて書いてある書。商品を「売る」立場からのお話。
書いてあることはシンプルで言われてみればもっともなことが多い。しかし、日常生活において商品を購入する際にマーケティングの知識がなければ今までスルーしてきた事も見えてきたりと大変「気づき」のある内容。特に従来通りのヒット商品と革新的な(ルールを変えた)ヒット商品のイノベータの違いについて述べられている箇所は興味深かった。
ただ、「革新的イノベータの見つけ方」等本当に知りたいと思える場所は最後の方でさらっと述べられている程度で終わっているのが個人的には残念。150ページ強で文字も大きく1時間程度で読めてしまうだけに、ボリュームが不足しているのは否めない気がした。イノベータ理論の入門としては内容も過不足無いと思われるのでそこはまた別の機会に、ということなのかもしれないけど。
良くも悪くも短時間で読めるので、自分の興味のある分野について現状の分析と自分の立場を省みる為に読んでみるのもまた一興。寧ろマーケティングに直接関わりない人の方が読んで得ることの方が多いかもしれない(担当者はこのくらい常識ですよ、ということだ)

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森 行生
ソフトバンク クリエイティブ 2007-03-16