「薔薇色にチェリースカ」

「責任ひとつ取る度胸もないというのに、なぜそこにお座りになっ―」
「――市民のケンカで皇帝が責められる国がどこにある」
「こ……」
「ハイネルオーブたる貴様に免じて、特別に私の見解を教えてやろう」
「この私こそが、学園そのものだ」


あらすじ

欧州の小国エルザ共和国一の名門校、マシュテバリ学園。
綺羅崎ヒロは妹と自分の生活のために理事長の走狗として不本意な学生生活を余儀なくされていた。
理事長の命を受け、優生会の面目を潰すために優生会主催の仮面舞踏会に参加するヒロ。だが、健闘空しく自分の正体がバレてしまう。幼馴染の乱流真希の手を借りて辛くも脱出に成功し、暗い穴の中で周囲のほとぼりが冷めるのを待つ。
しかし、そこで彼は見てしまう。純白の蛇が裸の美女に変身する光景を―


1巻だからねぇ

銀盤カレイドスコープ』の海原零待望の新刊。
タイトルが変更になってたり発売延期もあったりと難産だったようだが、あとがきを見ると案の定。計3冊半って!裏表紙のあらすじが本編と微妙に違うのもその名残かしら。


今作の舞台は一応現代ということだが、仮面舞踏会が平然と行われてたり、挙句の果てには殺人OKな決闘があったりとある意味ファンタジー。作者の作風(やや装飾過剰)には合ってると思うのでこれはこれで。
キラキラ具合といい当時見てた人ならそら『少女革命ウテナ』思い浮かびますわ。
バーチャルスター発生学もいいね


そして内容は…「今は」微妙。
面白くないわけではないのだけど。名前だけ出てて登場していない人物、明かされていない人間関係や謎が多く、感情移入以前にただただ物語が流れていってる感が。
上司の命令で舞踏会に潜入⇒見つかって逃亡⇒因縁をつけられて決闘⇒危ういところを助けられる、って主人公の行動に主体性があまり無いのが原因か。チェリースカも「まだ」掴み所が無いし。何か行動を起こしても「そうですかー」程度しか感じられない。
真希、ギルコ、アイスヒルといった周りの面子(特に真希)は見方によってはDQNだがいい味出してるとは思うので今後の展開次第といった所。
続刊前提の1巻なので今回は舞台や主要キャラの顔見せ等に徹するのは仕方ないんでしょうね。

4086303566薔薇色にチェリースカ (集英社スーパーダッシュ文庫 か 6-12)
海原 零
集英社 2007-08