「よくわかる現代魔法1 new edition」

「こんなとこで死ぬのはスペランカーだけだと思われ」


あらすじ

自分を変えたい!ドジでお子さま体型のこよみは、自分を「劇的に」変えるためあろうことか魔法を学ぶことにした。
と、いうのも一週間ほど前、押入れを整理した時に不可思議な広告を発掘したからだ。よりによって魔法学校。相当に胡散臭い。でも本当かもしれない。ゲキドーの現代なら何があっても不思議ではない…かもしれない。
広告を頼りに銀座3丁めの洋館まで辿り着いたこよみは、現代に生きる魔法使いの一人・姉原美鎖から魔法の存在を知らされる。魔法の本質は『コード』であり、現代人はそれを使うのにPCを利用することが多いらしい。だが、練習に使った簡単なコードも暴発させてしまった機械音痴のこよみ。まずは基本から、ということで美鎖から借りた本を頼りに学校の視聴覚室でPCの基礎について学ぶことにしたのだが―


やっぱ2巻からか?

桜坂洋のデビュー作の改稿版。「new edition」としてお話の基本の流れは一緒だが、全体の構成、結構な場所の文章の改変がある…らしい。…私は初なのでどこが変わってるのかはわからないのだけど。勿論表紙や押絵は全て新規。
桜坂洋といえば個人的には『ALL YOU NEED IS KILL』。そして、結構積極的に越境っぽいことをしていて気になる作家さんではあった。だが、デビュー作のこのシリーズは数年前から名前は各所でよく見かけるものの時期とかタイミングを逃がして今まで未読。 で、なんでこのタイミングかはわからないが、新装版ということで新たに発売ということで読んでみた次第。…以前どっかで見た「一ノ瀬弓子クリスティーナはパンツをはいてない」という巨大なポップが強烈に印象に残っていたこともあったりなかったりして。
リアルタイム3〜4巻の頃によく言われていたことに「よくわかる現代魔法は2巻から本領発揮だから1巻は我慢して」というのがあった。本当にそうかもねぇ。我慢、と言うほど酷くは無いと思うし寧ろ手堅いと思うのだが、話の流れが淡々としているような。
設定は面白いと思うんだ。コンピューターでも魔法は動くけど、熟練の人の手には劣る所とか…ああなんて人体は優秀な生体コンピューターなのでしょうか。でも、そのレベルに達する手間を考慮するとPCの数の暴力(同じ動作を繰り返し続ける+ネットワーク関連)を使ったほうが効果対費用的にはよろしいところとか。火力!火力!って感じでなくちょっと捻った感じの設定は発展性があって面白いと思う。
ただ、上手い具合に使えそうな設定に比べてお話が素直過ぎるのが物足りなかったかも。こよみが主人公なのは理解できるのだが、ぶっちゃけ事件に巻き込まれ→運良く偶然に解決で終了。「自分を変えたい」ってのは魔法を学ぶきっかけにするなら良いのだけど、事件にそこまで首を突っ込む理由としてはまだ弱いように思えるのです。今回に限ってはぱんつはいてない一ノ瀬弓子クリスティーナの方が熱かったぞ。それも背景がまだよくわからないので若干空回りしてる気もするが。淡々としてるのは、流れが素直過ぎて喜怒哀楽のぶれ幅が足りないのが原因かも。
まぁ、新装版ってもお話は同じらしいのでお話自体は過去の評価とは大きく変化することは無いのかな。読み終わった感想はやっぱり「2巻に期待」って所です。あらすじを見る分には面白そうなのだがな、2巻以降は。そちらもイラストだけだが新装版で出るらしいので出て機会があったら手をつけたい。
408630421Xよくわかる現代魔法 1 new edition (1) (集英社スーパーダッシュ文庫 さ 5-7)
桜坂 洋
集英社 2008-04-25