「東京皇帝☆北条恋歌1」

「……皇帝……陛下?」
「はわっ!しまった!」
「はわ……?」
「いっ、いえっ、そのっ、なんですわ。はわ、とか言ってませんじょ?」
「じょ、て」
「ちなうんですちなうんですっ!ああ――――っ!折角、対外的に築いてきたお淑やかなイメージがあっ!!」
「お淑やかねえ……。どうせ、すぐメッキがはがれて、ユルいキャラが発覚するんだから……とはいえ、皇帝の品格が問われて皇室の権威が失墜するのは国家としては芳しくないわね」
「ううっ……。黙っていて貰えますか、一斗くん?」
「え、あ、は、はい、勿論」
「えっへへ〜、じゃあ、ほら」
「指切りっ」
「あ、はい……」
「嘘ついたら、国家反逆罪で禁固3年8ヶ月に処〜す、指切った」


あらすじ

北西は奥多摩から、東は江戸川区、南には伊豆・小笠原諸島にまで広がる独立国家・東京帝国。北条恋歌はその東京を治める北条王朝の3代目…第3代東京皇帝だった。そんな彼女が唐突に一般人が通う学園に転校することになった。と、いうのも親友にして帝国宰相の南徳原来珠が

『こっちが働いているってのに、何であいつらだけ青春を謳歌しているの!?』

等と激務の最中に突然発言⇒即転校手続きのコンボを達成。「面白そうだから」という理由でそれに便乗⇒勅命発令して現在に至るというわけだ。だが、実際に学園に通ってみても今ひとつ面白さが理解できない二人。「部活動こそ学園生活の楽しみの一つ」という意見を参考にして、関係者のみで部を設立しようとするが―


作風は相変わらずですが

オリジナル、ってのと過去作品の広告が無いだけで、ここまで好感度が上がる!ふしぎ!


色々な意味でカオスな『らき☆すた』三部作を書いてたりエロゲのシナリオライターをやってたりする竹井氏の新作。
スニーカー文庫刊の近作がアレだっただけに、オリジナルといっても微妙に怖かったりもしたのですが、今回は普通に面白かったと思いますよ?
まぁ、パッと思いつくだけでも色々問題点らしき所があるような気もしますが

  • 主人公が空気だよ!⇒そもそもそういう仕様です
  • お話が全く進んでなくね?⇒今回はキャラ紹介の巻です
  • 3年ぶりのわりには芸風同じでね?⇒思いつきとフィーリングで書いております
  • タイトルが「北条恋歌」なのにヒロインでも主人公ではないのはこれいかに⇒それ無理

という感じで気にしないで読めば、キャラ同士の掛け合いは相変わらず楽しいわ、無駄な反感を買う部分は無くなってるわで忌むべき過去を払拭した感も。あと、オリジナルってことで多少心配されたキャラですが、ヒロイン群はテンプレ的ながらそれぞれに可愛らしくいい味出してると思います。ただ、テンプレっても針が振り切れちゃった「オーバーテンプレ」が多いんだけどな…!元ネタが無いからこそか。まぁ、その辺りのカオスっぷりがらしいといえばらしいのですが。
そして、元来ネタが多い文章を書かれる方なんですがオリジナルの今回でもやはりネタ分は多目。最近は他でもネタ多くなってきて、そんなにはインパクト無いかなぁとは思ってたんですがさすがに10日は格が違った。割とシリアスな部分で、機動魔法兵(ロボットみたいなの)の種別についての解説文があったのですが、その種別が代表的な旧型4種類で 天使(クリィマー)、妖精(ペールシャール)、光星(エミエド)、偶像(パステリオン)ってこれなんてスタジオぴえろ。そして新型が白い悪魔(リリ・カルナー)…なのはさんなのは確定的に明らかwwwww
ありもしないものを無駄に期待して読まなければ、掛け合い中心のネタラブコメとしては十分に及第点。あんまり難しいことを考えずに楽しめると思う。1巻のストーリーは…な感じだったが、キャラ紹介と伏線張りに徹してたので仕方ないと言えば仕方ないか。次巻以降は大きく動きそうなので生暖かく見守って行きたい所。
あと、帯も完全オリジナルが無難だと思います。これ、無駄に反感買わないかな…

4044712069東京皇帝☆北条恋歌1 (角川スニーカー文庫)
竹井 10日
角川グループパブリッシング 2009-01-31