「疾走れ、撃て!2」

信頼できる上司→年上のお姉さん→しかもロリ→魔導士官と杖→パートナー→心身ともに
(……まずい!)


あらすじ

魔導士官・柴神虎紅が率いる小隊に配属された田神理宇や華社ミヅキたち。なし崩し的に突入した最初の実戦をクリアしたものの、日常に戻れば普通の学生兵士―通称「学兵」として、相も変わらず厳しい訓練の日々を送っていた。
そんな中、柴神小隊にも陸軍定例の行事である中間演習の季節が迫ってきていた。仮想敵相手に特定の状況下での行軍の練度を見るための演習で実戦ではない―が、長期間の休みの日数がこの演習の査定に左右されるため、受ける方は必死である。だが、柴神小隊の仕上がり具合は傍目に見ても決して良いとは言えなかった。数式戦車の訓練に忙しい小隊長の理宇に変わって、曹長として小隊を実地で取りまとめるミヅキ。小隊での彼女の厳しい指導に対する不満の噴出、そして恋敵である虎紅といつも一緒にいる理宇に対しての気持ち。そんなこんなでイライラしていた彼女は、ふとしたきっかけから理宇と言い争いを起こしてしまうのだが―


ラブ寄せktkr

架空の歴史を歩んだ日本での学兵たちの、恋愛や日常を描くアクションストーリーの第2弾。ガンパレードマーチ見たいな感じと考えれば理解しやすいかと。1巻を読んで結構気に入ったので2巻を待っていたのだが…延期に継ぐ延期でやっとこさ発行。長かった。
で、読んで見ると…予想以上にラブ寄せktkr!いや、MF文庫Jで出てるしラブ要素多くても違和感は無いんですけどね!?虎紅・理宇・ミヅキの三角関係が物語の主軸の一つであるとはいえ、前作であれだけシビアな実戦を経験してたり、「杖」関連でやや中二病的展開らしき物の片鱗を見せてしまうと空想学生戦争物の方向に重点を置いていくのかなぁと身構えてたもので。軍隊での出来事を割合シビアに描いていた前作の空気を気に入っていたのもあって、三角関係関連にかなり分量を割いていた今回の方向性には不意を突かれた感じがしました。
でも、想像してたのと多少違っていても面白くなかった、というわけでもなく。確かにラブ寄せによりラブコメ分増量!しかもベタな三角関係!ってなのは事実。だけど、そこにこの作品独自の軍隊での生活や階級による立場の問題が絡んでくることによって深みが増した…というか関係に奥行きができていてそこが地味に良かったと思う。学園モノなら学園モノならではの関連というのもあるのだろうけど、軍隊ならではの明確な上下関係やら、ひっそりと、裏に、「死ぬ可能性」とかもある環境での三角関係の動向には非常に興味がありますよ!


2巻はまたこれから新展開!という所での引きで終わってる上に、冒頭の銭湯のエピソードの位置づけが今ひとつ不明だったりと繋がってるエピソードの途中、という感じが強く思えた。できれば次はそんなに延期しないで出て欲しいものです。
…表紙とカラー口絵1P目でミヅキの表情が微妙に違ってるんだが、これになんかの意味あるのかなぁ?

4840127247疾走(はし)れ、撃て!〈2〉 (MF文庫J)
神野 オキナ
メディアファクトリー 2009-05