清水マリコ

「君の嘘、伝説の君」

いたい。 言われるのも痛いが、言い返すのも同じくらい痛い。 決意はしてみたがちょっと泣きたい。 ちな、と舌に音を載せてみると、口の中が恐ろしく甘酸っぱくなった。 だがどこかで、悪くない味だという気もする。 智奈と呼ばれて、神鳥の指先がわずかにヒ…

「HURTLESS/HURTFUL」

「秘密にしておきたかったのに」 「あのときの気持ち……きれいだと思った気持ちがとても好きだったのに」 「でも言いたいの。いま言って、玲夫くんまで傷つけたいの――いい?」 あらすじ街中玲夫、16歳高校生。彼とその家族は今やちょっとした有名人になってし…

「嘘つきは妹にしておく」

「終わりが近づくと、悲しくなるの。また、幸せな夢が終わってしまう。幕がおりたら、また私は、ひとりぼっちのどこでもない世界へ帰らなきゃいけない。舞台が終わると、夜か夕暮れで、劇場を出ると、涙が出るの。どうして、終わっちゃうんだろう。終わるく…