「マリア様がみてる キラキラまわる」

「何が、失礼、ですか。いくら暗がりだからって、妹の顔くらい一目で判断してくださいよ」
「あ、ごめん」
「本来だったら、後ろ姿くらいでわかっていただかないと」


瞳子さんは、祐巳さまに会えてとても嬉しい、と言っているんです」
ごきげんよう祐巳さま」
「可南子さん、勝手なこと言わないでよね」
「直訳しますと、本当のことを言われたら恥ずかしいわ、です」
「うーっ」


あらすじ

『三年生を送る会』の翌日。祥子さまの呼びかけで遊園地に行くことになった山百合会の面々+α。前回のリベンジに燃える祥子さまは開園時間には到着したいと前日から気合十分、紅薔薇の二人に柏木と祐麒も加えて4人で行くことに。しかし、紅薔薇組は道路の混雑などで開園してから30分ほどしてからの到着となってしまう。だが、他の面々も遅れてきたらしくチケット売り場で偶然合流することに。それぞれ遊園地に遊びに来たとは思えない重い雰囲気なのが気になったが―


なんだかんだいって面白かった

薔薇の花かんむり』で長らく問題だった祐巳の妹問題に決着が着いたため、今年はこれで終いかなーと思ってたら年末に辛うじて出た第32(!)巻。12月にコバルト2回発売日あったし扱い的には1月刊か。
ぶっちゃけ前巻ほどのストーリーの盛り上がりは無い(『花かんむり』も開始早々に決まっちゃったので盛り上がったか?といえば微妙かもだが)。前巻が延々ひっぱり続けたロザリオ享受やら、紅薔薇さま黄薔薇さまお別れ会やら、本筋的にかなり美味しい所を扱っていたので已む無しか。かといって面白くないわけでもない。ガチ本編とは異なる、時々出てくる短編集やコメディ分多目のお話の面白さ。『涼風さつさつ』やらその辺りの。普段とは違う状況下で、今まで本編を追ってきた人ならニヤニヤできる台詞やシチュエーションが目白押し
先代薔薇さま卒業してから、ここに至るまでどれだけ時間かけてんのよとか、短編で「誰それ?」「外人?」「歌?」というようなキャラがメイン張ったりとか、色々あるわけだが、なんだかんだいってこういった軽いお話にも見所があるから逆に困るというかなんというか…やっぱり上手いわ。長く続けてきただけあってキャラクターの本質を掴んでる感じ。柏木さんとか実に良い。
流れ的に、祐巳×瞳子のお話が少なかったのは意外だった。が、その代わりに祥子×祐巳分は多目。卒業前の思い出ということで、次からは現3年生の卒業話に完全突入なのか?大体3〜4ヶ月で出てるし次は卒業シーズンに合わせて出たりすると素敵よねぇ。


可南子かわいいよ可南子

今回の個人的MVP。
いちいちぬいぐるみに反応したり、キャラクター物の帽子を被ったり、ポップコーンの入れ物を首から提げていたり。
なにこの超可愛い身長179cm女子高生。押絵GJ。
元々好きなキャラですが、当時のストーカーっぷりやドロデレっぷりを顧みるによくぞここまで…!といった具合。最近は安定してたみたいですが、もう完全に過去の事は吹っ切れた様子。よきかなよきかな。
瞳子との一連のやり取りも好感触。瞳子ツンデレっぷりが可南子によって更に引き立つ、みたいな。祐巳さまが好きで、でも事情があって身動きがとれなかった二人。どちらの事情も解決(?)した今となっては共感する部分とかあったのでしょうね。まぁ、それでもいつのまに仲良くなったんだか記憶にないのだけど
以前に、好きだけど祐巳の妹にはならない、と言ってのけた彼女。今後現薔薇さまが卒業し、今の1年にもスポットが当たっていくことでしょう(祥子さま卒業したら終わりかなーと思っていた時期が俺にもありました…が)。そんな中、現2年生における蔦子さんのような役割(カメラにあらず)を可南子には期待したい。今でもその素質は十分にあると思うのだけど…更なる活躍を、出番を!
4086011107マリア様がみてるキラキラまわる (コバルト文庫 こ 7-56)
今野 緒雪
集英社 2007-12-26