「キャメロットの鷹―アーサー王宮廷物語〈1〉」

エクスカリバー 魔法使いマーリン サー・ランスロット 湖の貴婦人 等々言葉自体は良く見かけたり、事の顛末くらいは一般的にも知られているものの改めて聞かれると細部まではよくわからないアーサー王物語がよくわかる。

実際は近親相姦やら勢力争いやらで結構ドロドロした複雑な人間関係が多かったりもするのだが、主人公を王妃付きの女官の少女にしたおかげで、何も知らない読者も割りとすんなりと作中の状況を把握できるようになっていて読みやすかった。
淡々とした語りではあるが、アーサー王伝説という「お話」という雰囲気にはあっていて好印象。
というかこれが激しくくだけた表現だったら駄目な気がする。

ただし、良くも悪くも「お話」物語なのである。
その分登場人物の心情や周囲の状況の理解はしやすいが、主人公、作者の心情が反映されるため正確な事実(伝説だけど)認識とは違うと思う。楽しみつつアーサー王伝説のアウトラインを知りたい人にはお勧め。客観的な事柄を知りたいのであれば他の専門書の方がいいのではないかと思った(ハードカバーなんで揃えると高いしね)。

キャメロットの鷹―アーサー王宮廷物語〈1〉
ひかわ 玲子
筑摩書房 (2006/02)
売り上げランキング: 230229
おすすめ度の平均: 3.0
3 読みやすい少女ファンタジー