「マリア様がみてる マーガレットにリボン」

うまく言えないけれど、私は、私がいなくなってからの志摩子の時間を愛しているのだ。
今現在の彼女の楽しい思い出の中に、過去の「お姉さま」はいらない。


あらすじ

下級生へのバレンタインデーのお返しを遊園地のクッキーとキャンディに決めた祐巳由乃志摩子の三人。
流石にそのまま渡すのは忍びないので、ラッピングくらいは自分達ですることにした。だけど、実際やってみるとなんだかパッとしない。あれやこれや相談している内に話の内容がだんだん逸れていって―


そろそろマリみての昔話をしようか

今回短編集で、通算にして33巻。3〜4月は卒業式シーズンだったりするので、それに合わせて本編も展開してくるのかなぁ、と思ってたが卒業全く関係無いホワイトデーのお返しのお話でしたとさ。
いつもの短編集と違い今回は読者のリクエストにお答えしたオール書き下ろしらしいが、普段からコバルト本誌を読んでない俺にスキは無かった。いつもと変わらんね。ただ、リクエストに応えて書いているせいか、普段の短編が(短編の繋ぎと)時期的に近い作品が多いのと比べて時期的な縛りが緩いように感じられたかも。
時期も場所も多彩で色々あったのですが、一番面白かったのは『フィレンツェ煎餅を買いに』。チャオ、ソレッラ!秘話とでもいいますか、聖様は本当にイタリアにいたんだ!的な話。もうね、「お前は何をやってるんだ」状態で、空港でリリアンの修学旅行組とニアミスした時の対応とか面白すぎますよっ。基本はお笑い系のお話だったのですが、それ以外にも栞関連の台詞がちらっと出てきたり、志摩子への気持ちが垣間見えたり、過去を思い出してはっとする部分があったのが良かったのです。やはり聖様は偉大だった。
そして面白いかというと微妙〜なのだが思うところが色々あったのが『青い傘の思い出』。あの伝説の『レイニーブルー』で行方不明になった祐巳ちゃんの傘の行方を追ったお話…ってのは間違いないが、本編と全く関係なくね?的な感じが。作風も、いつものマリみてとは違うような感じで、男女の恋愛模様を普通に描いているってのが新鮮で逆に目を引く。こういうお話も悪くないね?新幹線の話で女→女だったのは、あぁ…と(複雑に)思ったけど。あとは時期的な物かな。当時はレイニー止めとかあったし、いとしき歳月パラソルをさして辺りが第一次ブレイク期な気が。
総じて、先代薔薇様方とか、ロサ・カニーナとか最近は出番が少ないキャラにスポットを当てた話が比較的多く、嬉しいと同時に懐かしく感じた。印象に残ったお話も過去のお話関連だったし…。これから山場(卒業式関連)!ってとこでコレだったから一寸「あら?」って思った所もあるにはあったが、これはこれで。もう33巻にもなるし「そろそろマリみての昔話をしようか」と言いたくなるようなならないような。
流石に次はガチ本編ですよね、ね?
4086011441マリア様がみてるマーガレットにリボン (コバルト文庫 こ 7-57)
今野 緒雪
集英社 2008-04-01