「黄昏色の詠使い(4)-踊る世界、イヴの調律」

「それより、お前こそ久々の名詠でもう息が上がっとらんか?」
「吐かせ。ワシはまだまだここからだ」
「……背中、預けて良いかな」
「無論。老いたりとはいえ、今の若者に恥じぬ名乗りをあげたいものだ」


――上等、それでこそ我が生涯の友よ!

なにこの超格好いい爺S


あらすじ

先日の灰色名詠の襲撃で、原因不明の高熱により倒れたクルーエル。休み明けには何とか回復するも、試験中に体調を崩して再び倒れてしまう。周囲が彼女を心配する中、『イ短調』のメンバーが灰色名詠の事後調査のためにトレミア・アカデミーに向かっていた―


手堅いデキ

今巻は素直に前作からの続き。灰色名詠襲撃後の対応と、クルーエル関連の諸々の事情のお話。
次の巻がエピソード1の終わりの巻だそうです。と、いうわけで今回は最後の展開に向けて色々と伏線を張ったり、新たな問題を提起してたりとラストに向けての準備段階だった印象。そのせいか今までと比べて「ここが山場!」といった展開が無かったのは少し残念。それでも、クルーエル×ネイトの関係もしっかり進展していたし、格好よすぎる爺sやらクルーエルの裸について語り出す女医さん等々キャラ描写も抜かりなく。何より、謎の見せ方の上で、世界観やキャラとの関連付けがしっかり守られていたのが好印象。詠わないカインツやら夜色の意味etc。「大人はみんな、大切なことを忘れている」って何気なく流していた台詞からここまで引っ張るとは予想外であった。
キャラ描写、ストーリー展開共に目新しい部分はなくとも堅実に完成度高し。新人でここまで書けるって凄い。


あと表紙。白地背景に美少女一人という、所謂擬似撒き餌だってことはわかるんですが…好きだわ、コレ。長髪ストレートに緋色の髪ってのは映えるなぁと思った次第。竹岡さんGJ

4829119764踊る世界、イヴの調律 (富士見ファンタジア文庫 174-4 黄昏色の詠使い 4)
細音 啓
富士見書房 2007-11